障害者グループホームの職員が辞める4つの理由|孤立・夜勤と定着の打ち手
障害者グループホームを運営していると、「せっかく採用した職員が、また辞めてしまった」という悩みに何度も直面します。求人を出し直し、また一から育てる——その繰り返しに疲れてしまっている管理者の方も多いのではないでしょうか。
グループホームの離職は、単に「給料が安いから」「きつい仕事だから」で片づけられるものではありません。入所施設や通所事業所とは違う、グループホームならではの構造的な事情が背景にあります。本記事では、20年以上にわたり自ら障害福祉の現場を運営してきた代表の経験をもとに、Engood合同会社が、グループホームの職員が辞める理由と、現場で実際に効いた定着の打ち手を整理します。
グループホームの離職は「業務のきつさ」だけではない
独立行政法人福祉医療機構の2023年度の調査では、職員が不足していると回答した事業所は52.6%にのぼり、人手が足りない状態が慢性化しています。人員に余裕がないと、一人あたりの業務量が増え、休憩が十分に取れない、残業が増えるといった状況につながります。そしてその負担が、さらに退職を招くという悪循環に陥ります。
ただ、現場を見ていて感じるのは、職員が辞める決め手になるのは「忙しさ」そのものよりも、その忙しさを誰にも相談できないことだという点です。ここにグループホーム特有の難しさがあります。
グループホームで職員が辞める4つの理由
1. 一人勤務による孤立
グループホームは、入所施設と違って一つの住居あたりの職員数が少なく、時間帯によっては一人で対応する場面が多くなります。判断に迷ったとき、すぐに相談できる先輩や上司がその場にいない。利用者との関係で悩んでも、共有する相手がいない。この「一人で抱える」状態が続くと、経験の浅い職員ほど早く消耗していきます。
離職率の高い事業所に共通する職場環境については、離職率が高い障害福祉施設に共通する3つの職場環境でも整理しています。
2. 夜勤・宿直の負担と不安
夜間の勤務は、拘束時間が長くなりやすいうえに、「何か起きたら自分ひとりで対応しなければならない」という緊張が続きます。実際には大きなことが起こらなくても、その不安が積み重なることで疲弊していきます。夜間の緊急時にどう動くかが明確に決まっていない事業所では、この不安がさらに大きくなります。
3. 世話人と生活支援員の役割が曖昧
グループホームでは、世話人が家事や相談などの日常生活の支援を、生活支援員が食事や入浴などの身体的な介助を担うのが基本的な考え方です。しかし現場では、この線引きが曖昧なまま「気づいた人がやる」運用になりがちです。
結果として、責任感のある職員ほど業務を抱え込み、負担が偏ります。「自分ばかりが大変」という不公平感は、静かに、しかし確実に離職の理由になります。
4. 育てる仕組みがなく、我流で放り込まれる
人手が足りないと、新人を十分に育てる余裕がなくなり、数日で一人立ちさせてしまうことがあります。障害特性の理解には知識も経験も必要で、いきなり任されれば「自分には向いていない」と感じるのは自然なことです。教育の不足は、本人の資質の問題ではなく、仕組みの問題です。
定着のために現場で効いた打ち手
- 一人にしない仕組みをつくる——その場に人がいなくても、電話やチャットで必ず誰かにつながる体制を明示しておく。「困ったら連絡していい」と伝えるだけでも、孤立感は大きく変わります。
- 夜間の対応手順を紙にする——想定される事態と、そのときの連絡先・判断の目安を一枚にまとめておく。判断を個人に背負わせないことが、不安を減らします。
- 役割の線引きを明文化する——世話人と生活支援員、それぞれの担当範囲を書き出し、曖昧な部分は「誰がやるか」を決めておく。抱え込みと不公平感を防げます。
- 最初の1か月の育成を設計する——何を、どの順番で、誰が教えるかを決める。新人が「わからないまま放置されている」と感じない状態をつくることが、最も効果的な離職防止策のひとつです。
職員が「この施設で働き続けたい」と思う瞬間については、定着率が高い施設の共通点で具体的に紹介しています。実際にグループホームの職員定着に取り組んだ事例は支援事例もご覧ください。
採用より先に、辞めない現場をつくる
人が足りないとき、多くの事業所はまず求人に手をつけます。しかし、辞める理由が残ったままでは、採用してもまた同じところで抜けていきます。採用を増やすより先に、いま働いている職員が辞めない状態をつくるほうが、結果的に早く人員は安定します。
とはいえ、日々の運営に追われながら、仕組みを一から見直すのは簡単ではありません。Engood合同会社は、横浜を拠点に、神奈川県内をはじめとする障害福祉事業所の人材定着と経営改善をご支援しています。20年以上自ら現場を運営してきた経験から、机上の理屈ではなく、その事業所で実際に回る形でご提案します。
支援の内容はサービス案内、ご相談の流れはご利用の流れでご確認いただけます。「またすぐ辞めてしまう」を繰り返す前に、一度現場の状態を一緒に整理してみませんか。


