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改善事例

サービス管理責任者(サビ管)が突然辞めた施設の立て直し|3か月の記録

——その後どう立て直したか。ある法人の3か月間

問題発生——「来月で辞めます」の一言

「来月末で退職させていただきます」——就労継続支援B型(定員20名)を運営するB法人の施設長・C氏がその言葉を聞いたのは、3月初旬のことでした。

告げたのは、4年間サービス管理責任者(以下、サビ管)を務めてきたDさん。個別支援計画の作成から担当者会議の運営、モニタリングまで、一人で担ってきた中核人材でした。

「引き止めようとしましたが、すでに転職先が決まっていました。頭が真っ白になりました」とC施設長は振り返ります。

【C施設長の言葉】
「サビ管がいなくなったら、そもそも事業所として運営できなくなる。指定基準を満たせなくなる。そのことが頭をよぎって、眠れない夜が続きました」

サービス管理責任者(サビ管)の法的位置づけ

  • 根拠:障害者総合支援法・各サービスの運営基準
  • 役割:アセスメント・個別支援計画の作成・担当者会議の開催・モニタリングの実施
  • 配置義務:サービス種別・定員に応じた人数の配置が指定基準で定められている
  • 資格要件:実務経験年数(5年以上等)+相談支援従事者初任者研修+サビ管研修の修了

→ サビ管が不在になると指定基準違反となり、最悪の場合「指定取消」のリスクがあります。資格取得には数年単位の実務経験が必要なため、即戦力の外部採用も容易ではありません。

原因分析——なぜこうなったのか

原因①:サビ管業務の「一人依存」

B法人ではサビ管業務のすべてがDさん一人に集中していました。個別支援計画の書式・作成手順・利用者ごとの支援の経緯——これらはDさんの頭の中にあり、文書化されていませんでした。「Dさんがいれば回る」という状態が4年間続いていたことが、退職時のダメージを最大化させた直接の原因です。

原因②:退職の予兆を見逃していた

後から振り返ると、Dさんは半年ほど前から「業務量が多すぎる」「一人で抱えている感覚がある」と周囲に漏らしていたことがわかりました。しかし施設長への正式な相談には至らず、管理者側もその声を深刻に受け止めていませんでした。「忙しそうだとは思っていた。でも、まさか辞めるとは思っていなかった」——これはC施設長だけでなく、多くの管理者が陥る認識のズレです。

原因③:後継者育成が「後回し」になっていた

「いつかDさんの後継者を育てなければ」とC施設長は感じていました。しかし目の前の運営に追われ、具体的な計画は立てていませんでした。サビ管要件を満たせる見込みのある職員はいましたが、実務経験年数の管理も行われていませんでした。

緊急対応——退職まで残り1か月でやったこと

C施設長はすぐにコンサルに連絡を取り、退職までの1か月で以下の緊急対応を実施しました。

緊急対応①:業務の「見える化」と引き継ぎ文書の作成

Dさんに協力を求め、サビ管業務の全体像をリスト化しました。個別支援計画の作成手順・担当者会議の進め方・モニタリングのタイミング管理・行政への各種届出——これらを文書化し、「サビ管業務マニュアル」として整備しました。「Dさんは引き継ぎに誠実に協力してくれました。辞め方が丁寧だったことに救われました」とC施設長。退職者との良好な関係が、この場面で大きく功を奏しました。

緊急対応②:暫定対応としての体制確認

行政(市の障害福祉担当課)に速やかに相談し、一定期間の暫定対応について確認を行いました。自治体によって対応は異なりますが、後任が決まるまでの期間について「管理者が兼務できる条件」や「経過措置の適用可否」を事前に把握することが重要です。C施設長自身が一定の実務経験を持っていたため、要件の確認と並行して暫定的な体制を整えました。

【重要:サビ管不在時は必ず行政に相談する】
サビ管不在が発覚した場合、隠して運営を続けることは絶対に避けてください。自主的に行政へ報告・相談することで、改善計画を示した上での経過措置が認められるケースがあります。発覚後の対応より、事前・早期の相談が処分リスクを下げます。

緊急対応③:外部人材の探索と内部候補の特定

並行して2つの方向で後任を探しました。

  • 外部採用:福祉系求人サイト・社会福祉士会等のネットワークを活用。即戦力サビ管の採用活動を開始
  • 内部育成:実務経験年数の要件をほぼ満たしていた職員E氏を内部候補として特定。不足している研修の受講を手配

結果的に、外部採用には3か月かかりましたが、内部候補のE氏が先に研修を修了し、暫定サビ管として機能し始めました。

立て直し後の変化——3か月後の状況

項目 退職直後 3か月後
サビ管体制 空白(C施設長が暫定対応) E氏が正式にサビ管就任
個別支援計画の管理 属人的(Dさんの記憶頼み) マニュアル化・共有フォルダで管理
実務経験年数の管理 未管理 全職員の経験年数を一覧化・毎年更新
行政との関係 問題発生後に初めて相談 定期的な情報交換の関係に移行
C施設長の精神的状態 極度の不安・眠れない日々 「最悪の事態は免れた」と安堵

※ 本事例はコンサル支援先の事例をもとにした参考値です。サビ管の配置基準・兼務や経過措置の取扱いは自治体・サービス種別により異なり、同様の結果を保証するものではありません。実際の対応は必ず所管の行政窓口にご確認ください。

【C施設長の3か月後の言葉】
「最悪の指定取消は免れました。でも今回の件で、一人の職員に全部任せていたことの危うさを痛感しました。Eさんが育ってくれたことが本当に救いでした。あの時すぐ相談したことが、結果的に良かったと思っています」

再発防止——B法人が整備した3つの仕組み

今回の経験を教訓に、B法人は以下の3つを恒常的な仕組みとして整備しました。

仕組み①:全職員の「実務経験年数台帳」の作成

全職員の実務経験年数・取得資格・受講研修を一覧化した台帳を作成し、毎年4月に更新することにしました。「あと何年でサビ管要件を満たせるか」が一目でわかる状態を維持します。

仕組み②:サビ管業務マニュアルの整備と定期更新

今回作成したマニュアルを「生きた文書」として維持するため、半年に1回の見直しをルール化しました。「マニュアルがあれば誰でも引き継げる」状態を目指します。

仕組み③:年1回の「退職リスクヒアリング」

全職員に対して年1回、管理者との1on1面談を実施し、「今の業務量・職場環境への満足度・将来の希望」を確認する仕組みを導入しました。「退職の予兆を見逃さない」ことが目的ですが、「自分のことを気にかけてもらっている」という実感が定着にもつながっています。

まとめ——「突然辞めた」ではなく「突然辞められた」

Dさんの退職は「突然」ではありませんでした。半年前からのサインを、組織が受け取れていなかっただけです。

サビ管は障害福祉サービスの根幹を担う人材です。「いなくなったら困る」と思っているなら、今すぐ2つのことを確認してください。

  • サビ管業務は文書化されているか(属人化していないか)
  • 後継者候補の実務経験年数を把握しているか

この2つが「はい」と言えない法人は、今すぐ着手することをおすすめします。サビ管の退職はいつでも起こり得ます。備えていた法人と備えていなかった法人では、そのダメージが大きく変わります。

業務の属人化を解消する取り組みは 管理者が現場から抜けられなかった施設|委任できるようになった転機、職員の退職予兆をつかむ定着の取り組みは 職員の離職・定着支援 もあわせてご覧ください。

サビ管育成・業務引き継ぎの整備・人材リスク対策のご相談は、サービス内容もあわせて、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

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