就労継続支援A型のスコア表とは|7項目の配点と経営改善に使う見方
就労継続支援A型の基本報酬は、利用定員と人員配置に加えて、「スコア表」で算出する評価点の合計によって決まります。「点数がなかなか上がらない」「どの項目から手を付ければいいか分からない」――スコア表を前に、こうした迷いを抱えていないでしょうか。この記事では、スコア表の7つの評価項目と配点、届出・公表のルール、そして経営改善に使うときの見方を、厚生労働省の通知と資料をもとに整理します。
スコア表とは|評価点で基本報酬の区分が決まる
A型のスコア表は、「厚生労働大臣が定める事項及び評価方法」(令和3年厚生労働省告示第88号、いわゆるスコア告示)にもとづいて、事業所の取組を点数にしたものです。評価点の合計に応じて、基本報酬が次の7つの区分のどれに当たるかが決まります。
| 評価点の合計 | 区分 |
|---|---|
| 170点以上 | (一) |
| 150点以上170点未満 | (二) |
| 130点以上150点未満 | (三) |
| 105点以上130点未満 | (四) |
| 80点以上105点未満 | (五) |
| 60点以上80点未満 | (六) |
| 60点未満 | (七) |
区分による差は小さくありません。厚生労働省の資料では、定員20人以下・人員配置7.5:1の場合、170点以上は1日791単位、60点未満は1日325単位とされています(令和6年度報酬改定後の単位数。令和8年度の報酬算定構造でも同じ単位数です)。同じ利用者数・同じ開所日数でも、スコアの区分によって1日あたりの基本報酬に2倍以上の開きが出ることになります。
新規指定の事業所の扱い
新規に指定されたA型事業所は、まだ実績がないため、初年度は評価点が80点以上105点未満であるとみなして基本報酬を算定します。年度の途中で指定された事業所は、初年度と2年度目がこの扱いです。なお、生産活動の評価も、新規指定の2年度目は初年度の実績だけで40点か20点、3年度目は初年度と2年度目の実績で評価するなど、通常とは扱いが異なります。開設を考えている段階では、この「みなし」の期間が終わった後に、実績でどの区分に入れそうかを先に試算しておくことが大切です。
7つの評価項目と配点
令和6年度の報酬改定で評価項目が見直され、現在は次の7項目で評価します。
| 評価項目 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 労働時間 | 5〜90点 | 前年度の1日の平均労働時間 |
| 生産活動 | -20〜60点 | 過去3年の生産活動収支と賃金総額の比較 |
| 多様な働き方 | 0・5・15点 | 就業規則等の8項目の整備状況 |
| 支援力向上 | 0・5・15点 | 研修・視察・人事評価など8項目の取組実績 |
| 地域連携活動 | 0または10点 | 地域と連携した取組の報告書の作成・公表 |
| 経営改善計画 | -50点または0点 | 求められた経営改善計画の期日内の提出 |
| 利用者の知識・能力向上 | 0または10点 | 一般就労に向けた支援の報告書の作成・公表 |
労働時間(5〜90点)
前年度に雇用契約を結んでいた利用者の労働時間の合計を、利用者の延べ人数で割った「1日の平均労働時間」で評価します。7時間以上で90点、6時間以上7時間未満で80点、5時間以上6時間未満で65点、4時間30分以上5時間未満で55点、4時間以上4時間30分未満で40点、3時間以上4時間未満で30点、2時間以上3時間未満で20点、2時間未満で5点です。
休憩や遅刻・早退・欠勤など、賃金の支払いが生じない時間は含めません。一方、年次有給休暇を取った時間や、賃金を支払っている面談の時間は労働時間に含めます。また、利用開始時に予見できなかった病状の進行や入院などで短時間労働(1日4時間未満)になった利用者は、90日分を限度に計算から除くことができ、その事由を都道府県に届け出ます。
生産活動(-20〜60点)
生産活動の収入から必要な経費を引いた「生産活動収支」が、利用者に支払う賃金の総額以上かどうかを、前年度・前々年度・前々々年度の3年分で見ます。3年とも賃金総額以上なら60点、前年度と前々年度の2年が賃金総額以上なら50点、前年度のみなら40点、前々年度のみなら20点です。反対に、前年度と前々年度がいずれも賃金総額未満なら-10点、3年とも未満なら-20点と、減点になります。
ここでいう賃金には、給料・手当・賞与など、名称を問わず労働の対償として支払うすべてのものが含まれます。また、年度は事業所の会計年度で考えることが想定されています。
多様な働き方・支援力向上(各0・5・15点)
どちらも8項目を各1点で数え、合計が5点以上なら15点、3点か4点なら5点、2点以下なら0点です。
- 多様な働き方:資格取得の支援、利用者の職員登用、在宅勤務、フレックス勤務、短時間勤務、時差出勤、時間単位年休または計画的付与、傷病休暇の8項目を、就業規則等に定めているかで評価します(毎年度4月1日時点の規定内容)。
- 支援力向上:研修計画にもとづく研修への参加、研修・学会等での発表、先進的事業者の視察・実習(受け入れも含む)、商談会等への参加、人事評価にもとづく昇給の仕組み、障害者ピアサポート研修修了者の配置、第三者評価の受審と公表、ISO等の認証の8項目を、取組実績で評価します。
地域連携活動・経営改善計画・知識能力向上
地域連携活動と利用者の知識・能力向上は、取組の内容や連携先の意見をまとめた報告書を作成し、インターネットなどで公表している場合に点数が付きます。公表はスコアの公表とあわせて行います。
経営改善計画は、生産活動収支が賃金総額に届かず、都道府県等から経営改善計画の提出を求められたのに、指定された期日までに提出しなかった場合に-50点となる項目です。期日内に提出した場合や、提出を求められていない場合は0点です。
経営改善に使うときの見方
スコア表は報酬区分を決めるための表ですが、私たちは「事業所のどこが弱いかを示す健康診断」として読むことをおすすめしています。自社で障害福祉施設を20年以上運営してきた経験からも、点数だけを追いかけると、現場に無理が出やすいと感じています。
まず生産活動の3年の推移を見る
生産活動の収支が賃金総額以上であることは、指定基準(指定障害福祉サービス基準第192条第2項)で求められている事項で、スコア留意事項通知でも「適切に実施するために必要な最低限の基準」とされています。令和6年度の改定で生産活動の配点が見直され、賃金総額に届かない年が続くと減点にもなるため、ここが崩れていると、ほかの項目を積み上げても区分は上がりにくくなります。
注意したいのは、自立支援給付費(報酬)で生産活動の不足分を埋めた金額でスコアを算定するのは不適切だという点です。令和7年11月に厚生労働省が指定権者向けに示した「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン」でも、指定権者がスコア得点に誤りがないか、生産活動シートや決算書で確認するよう求めています。福祉事業の会計と生産活動の会計を分け、仕事ごとの採算を見える化することが出発点です。
労働時間は「仕事量」と「働き方」をセットで見直す
平均労働時間は配点が大きい一方で、利用者一人ひとりの障害特性や希望する働き方と切り離して延ばせるものではありません。労働時間を延ばすには、それに見合う仕事量と生産活動収入が必要です。作業の切り出しや、要件を満たしたうえでの施設外就労など、仕事を増やす取組とあわせて検討します。
書類で評価される項目は「整備漏れ」を点検する
多様な働き方や支援力向上は、規定の整備や研修・視察の記録など、書類で確認される項目が中心です。ただし、フレックス勤務や時間単位年休のように労使協定が必要な制度もあり、規定だけ作って運用が伴わない形は避けるべきです。就業規則の改定は社会保険労務士と連携して進めます。
ポイント:点数は「上げる目標」であると同時に「弱点の場所」を示します。生産活動の採算→仕事量と労働時間→規定や研修の整備、の順に見ていくと、手を付ける順番を決めやすくなります。
届出と公表で失点しないために
4月中の届出と公表
算定区分は、スコアの詳細とあわせて毎年度4月中に指定権者へ届け出ます。あわせて、スコアの合計点と詳細を、決められた様式(別紙2-1・2-2)で毎年度4月中に公表します。公表は原則として障害福祉サービス等情報検索ウェブサイトで行い、事業所のホームページでも可能な限り公表することとされています。
評価点の公表について届出がされていない場合は「自己評価未公表減算」となり、届出がない月から解消する月まで、利用者全員について所定単位数の100分の85で算定されます。公表や届出が済んでいないと気付いた場合は、すぐに公表と届出を済ませ、減算がいつまで続くかを指定権者に確認してください。令和7年11月のガイドラインでは、全体の様式(2-1)だけを載せている場合に2-2も掲載するよう指導すること、ホームページの掲載場所が分かりにくい・情報が古い場合も指導することが示されています。
根拠資料は常に出せる状態に
届出の際に算出根拠の提出は必須ではありませんが、都道府県等から求められたときにすぐ出せるよう、利用者の始業・終業時刻の記録、賃金台帳や就労支援事業の会計書類、就業規則等、研修計画や受講の証明書類などを常備しておく必要があります。運営指導で確認されることも想定して、年度ごとにまとめておくと安心です。
自社でできること・専門家に相談したいライン
スコアの試算、根拠資料の整理、公表内容の確認は、手順を決めれば自社でも進められます。一方で、次のような場合は、外部の目を入れて全体を見直す時期かもしれません。
- 生産活動収支が賃金総額に届かない年が出ている
- 経営改善計画の提出を求められている、または求められそうだ
- 区分が下がり、基本報酬の減少で資金繰りに影響が出ている
- どの仕事が赤字なのか、事業ごとの採算が分からない
Engoodでは、スコア表と会計資料をもとに、生産活動の採算の見える化(仕事ごとの単価・作業量・人件費の試算)、経営改善計画の策定、規定・研修体制の点検などを、現場の運営経験をふまえてご支援しています。サービス内容のほか、施設外就労の進め方は施設外就労の運営支援のページ、運営指導への備えは運営指導・監査対策のページもご覧ください。就業規則の改定は社会保険労務士、指定の手続で提出する書類の作成は行政書士など、専門家と連携して進めます。
本記事の配点・区分・単位数は、令和7年3月31日最終改正のスコア留意事項通知と、令和8年度の報酬算定構造の時点の内容です。報酬改定で変わることがあるため、最新の告示と指定権者の案内で必ずご確認ください。また、記載の取組は同様の成果を保証するものではありません。
横浜・神奈川をはじめ、全国の就労継続支援A型事業所からのご相談をお受けしています。初回のご相談・経営診断は無料で、しつこい営業はいたしません。スコアの見方や生産活動の立て直しでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。


