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改善事例

補助金・助成金を毎年取り続けている障害福祉法人がやっていること|情報格差をなくす仕組み

——「知っている法人」と「知らない法人」の差はどこで生まれるか

本記事のエビデンスについて
補助金・助成金の制度情報は、各省庁・自治体の公式発表に基づいています。登場する人物・法人は、実際のコンサル支援先を参考にした架空の事例です。金額・件数は参考値であり、実際の支給額は申請内容・審査によって異なります。「取り続けている法人の共通点」については、筆者の経験・観察に基づく推測を含みます(その旨を本文中に明示しています)。

問題発生——「そんな補助金があったんですか?」

「えっ、うちも申請できたんですか?」——神奈川県内でグループホーム(定員10名)と就労継続支援B型(定員20名)を運営するS法人の理事長・T氏(62歳)が、顔色を変えたのは、別の法人の施設長と話しているときでした。

T理事長が聞いたのは、同じ神奈川県内で同規模の障害福祉法人を運営するU施設長の話でした。「去年、県の補助金と民間財団の助成金を合わせて280万円もらえましたよ」——その言葉に、T理事長は言葉を失いました。

「同じ地域で、同じようなサービスをやっているのに、なぜあちらは取れて、うちは知らないのか。悔しいというより、情けなかった」とT理事長。コンサルに相談したのは、その翌週でした。

S法人の補助金・助成金の活用実績(相談時点)

  • 直近5年間で申請した補助金・助成金:1件(設立時の設備補助のみ)
  • 直近5年間で取得した金額:約120万円(設立時のみ)
  • 毎年の補助金情報の収集方法:「特にやっていない」
  • 担当者の有無:「事務担当者が兼務で見ているが、専門的な知識はない」

【T理事長の言葉】
「補助金は申請するものだと知っていた。でも具体的にどこに何があるのか、いつ締め切りがあるのか、全くわかっていなかった。わからないから、動けなかった」

活用できる主な補助金・助成金の種類

補助金・助成金は大きく「公的補助金」と「民間助成金」に分かれます。以下は代表的なものです(2024年度時点の情報を参考にしていますが、制度は毎年変更される場合があります。必ず最新情報を各発表元でご確認ください)。

種別 主な補助金・助成金 管轄・問合せ先 特徴
公的(国) 障害福祉サービス等 感染症対策等支援事業 厚生労働省・都道府県 感染症対策設備等への補助
公的(国) IT導入補助金 経済産業省・IPA ICTシステム導入費用の補助
公的(都道府県) 社会福祉施設等施設整備費補助金 各都道府県(福祉部局) 施設改修・設備更新等
公的(市区町村) 障害者グループホーム整備補助 各市区町村 GH新設・改修等
民間 公益財団法人 丸紅基金 公益財団法人 丸紅基金 福祉機器・設備への助成
民間 NHK厚生文化事業団 NHK厚生文化事業団 福祉活動・設備等への助成
民間 赤い羽根共同募金会 都道府県共同募金会 地域福祉活動全般
民間 在宅医療助成 勇美記念財団 勇美記念財団 在宅医療・口腔ケア等

※ 上記は代表的な補助金・助成金の一例です。各制度の申請要件・対象・金額は毎年変更され、廃止・新設も随時発生します。必ず各発行元の最新情報をご確認のうえ、申請してください。

原因分析——「取れない法人」に共通する3つの理由

S法人のように補助金・助成金を活用できていない法人には、共通したパターンがあります。以下は筆者のコンサル経験に基づく観察です(統計的なエビデンスではなく、推測を含みます)。

理由①:情報収集の「仕組み」がない

補助金・助成金の情報は、国・都道府県・市区町村・民間財団それぞれから随時発信されます。待っていれば届くものではなく、自ら取りに行く必要があります。取れている法人は、福祉担当課のメルマガ登録・WAMnetの定期チェック・同業者ネットワークでの情報交換などを仕組みとして持っています(筆者の観察に基づく推測)。

理由②:申請書類の作成に「自信がない」

補助金の申請書類は、事業計画・収支予算・効果測定など、一定の書き方のルールがあります。「書き方がわからない」「落ちたら時間の無駄」という心理的障壁が、申請を先送りにさせます。もっとも、民間助成金の多くは比較的シンプルな申請書式で、初めてでも作成可能なものが少なくありません(筆者の経験に基づく推測。申請難易度は助成金の種類・規模により大きく異なります)。

理由③:「締め切り」を把握していない

補助金・助成金には申請期限が定められています。知ったときには締め切りが過ぎていた、というケースが多く見られます(筆者の観察に基づく推測)。取れている法人は、年度初めに「今年度の申請カレンダー」を作成し、締め切りから逆算して準備を始める習慣を持っています。

実例——U施設長の「補助金カレンダー」とは

T理事長に補助金の話を教えてくれたU施設長(神奈川県内・生活介護定員25名)に、詳しく話を聞かせてもらいました。

【U施設長の言葉】
「最初の年は私も全然知らなかった。知人の施設長から『うちはこれで設備を更新した』と聞いて、初めて動き出しました。最初の申請が通ったとき、『こんなに資料を作ったのに落ちたら怖い』という気持ちが『書けばいいんだ』に変わった。それからは毎年、4月に来年度の申請候補をリストアップするのが習慣になりました」

U施設長の「補助金カレンダー」作成手順(筆者がヒアリングした内容)

  • Step1:都道府県・市区町村の福祉担当課に電話し、「今年度の施設整備補助の予定はありますか?」と確認
  • Step2WAMnetで民間助成金情報を検索・ブックマーク
  • Step3:昨年度に申請した補助金の「今年度版」が出ていないか確認
  • Step4:同業者の施設長ネットワークで「今年度申請した・する予定の補助金」を情報交換
  • リスト化:補助金名・発行元・申請期限・対象経費・申請予定の有無を一覧表に整理し、申請期限の2か月前をリマインダーに設定

※ この手順はU施設長の個人的な実践方法です。すべての法人に同様の効果が得られることを保証するものではありません。

U施設長がこの仕組みで直近3年間に申請・採択された補助金・助成金の実績(参考値)は以下のとおりです。

年度 補助金・助成金名 取得額(参考値) 使途
1年目 神奈川県 社会福祉施設整備費補助 約150万円 送迎車両の更新
1年目 民間財団 助成金 約50万円 福祉用具・備品更新
2年目 IT導入補助金 約80万円 記録ソフト導入
2年目 共同募金(歳末助け合い) 約30万円 余暇活動備品
3年目 市区町村 GH整備補助 約200万円 GH改修工事
3年目 民間財団(非公表) 約40万円 口腔ケア用品・研修費

※ 上記はU施設長へのヒアリングをもとにした参考値です。補助金・助成金の取得額は申請内容・審査・予算状況によって大きく異なり、上記金額の再現を保証するものではありません。

S法人の取り組み——最初の1年でやった3つのこと

取り組み①:都道府県・市区町村への「直接確認」

神奈川県の福祉担当課と、法人所在地の市の障害福祉担当課に電話し、「今年度の施設整備補助や設備補助の予定を教えてください」と確認しました。「電話一本で担当者に聞けばいいと知らなかった。問い合わせると、丁寧に教えてくれました」とT理事長。この確認から、当年度に申請可能な補助金が2件あることが判明しました。

取り組み②:民間助成金データベースの定期チェック

WAMnetに掲載されている助成金情報を毎月第1月曜日にチェックするルールを設けました。事務担当者が担当し、申請検討に値するものがあれば管理者に報告する流れを作りました。

【補足】WAMnet(福祉医療機構)には、民間の社会福祉・保健医療関係の助成情報が集約されており、無料で閲覧できます。ただし、すべての助成金情報がWAMnetに掲載されているわけではありません。

取り組み③:「申請カレンダー」の作成

U施設長の方法を参考に、4月に補助金カレンダーを作成することを年間ルールとして設定しました。初年度は申請候補を5件リストアップし、うち2件に実際に申請しました。

S法人・初年度の申請実績(参考値)

  • 申請件数:2件
  • 採択件数:2件(申請した2件とも採択)
  • 取得総額:約180万円(神奈川県 施設整備補助 約130万円/民間助成金 口腔ケア用品・研修費 約50万円)

※ 参考値。採択率・取得額は申請内容・審査・予算年度により異なります。2件申請して2件採択されたことは、すべての申請が採択されることを意味しません。

【T理事長の1年後の言葉】
「申請書を書くのは確かに大変でした。でも、180万円の設備更新や研修費を自法人の収益だけで捻出しようとしたら、何年もかかっていたかもしれない。補助金は『知っているかどうか』の差だと実感しました。来年は5件申請する予定です」

補助金・助成金を活用する際の注意点

  • ①制度は毎年変わる:内容・金額・要件は毎年変更されます。前年の情報をそのまま使わず、必ず当年度の公式情報を確認してください。
  • ②採択は保証されない:申請しても採択されない場合があります。採択を前提にした資金計画は立てないでください。
  • ③報告義務がある:採択後は使途報告・実績報告の提出が義務づけられます。不正使用・虚偽報告は返還命令の対象になります。
  • ④事前登録が必要な場合がある:IT導入補助金等は申請前にgBizID等の事前登録が必要です。締め切り直前では間に合わないことがあります。
  • ⑤申請代行業者には注意:「補助金申請を代行する」という業者の中には悪質なものも存在します。雇用関係助成金は社会保険労務士、官公署へ提出する書類の作成は行政書士など、法律で業務範囲が定められています。有資格者か、実績・評判を確認したうえで依頼してください。

まとめ——「知っている法人」になるための第一歩

補助金・助成金の情報格差は、法人の規模や支援の質の差ではありません。「情報を取りに行く仕組みを持っているかどうか」の差です(筆者の経験に基づく推測)。

まず今すぐできることとして、自法人の都道府県・市区町村の福祉担当課に電話し、「今年度の施設整備補助や設備補助の情報を教えてください」と確認することをおすすめします。その1本の電話から、多くの法人が最初の情報を得ています(筆者の観察に基づく推測)。補助金・助成金の活用は継続的な取り組みです。毎年の習慣として「申請カレンダー」を回し続けることが、長期的な設備水準の維持と経営の安定につながります。

収益と資金の安定という観点では、赤字からの資金繰り立て直しは 資金繰りが底をつきかけた施設が立て直した6か月、毎月の収益に直結する加算の見直しは 加算最適化支援 もあわせてご覧ください。

補助金・助成金の情報収集の仕組みづくり・申請候補の整理・資金調達戦略のご相談を承ります。なお、雇用関係助成金の申請は社会保険労務士、官公署に提出する書類の作成は行政書士など、法律で定められた専門家の業務範囲があります。Engoodはこうした専門家と連携して支援します。サービス内容もあわせて、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

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