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改善事例

採用面接を変えたら「すぐ辞める人」が来なくなった施設の工夫|面接を相互確認の場に変えた実例

——「この施設に合うかどうか」を面接で確認できるようになった実例

【エビデンスと予測の区別について】
・登場する人物・施設は架空です(実際のコンサル支援先を参考に加工)。
・「面接改善が早期離職低下につながる」という記述は本事例の観察に基づきます。統制されたエビデンスではありません。
・面接の質問設計については、行動面接(Behavioral Interview)等の採用実務の知見を参考にしています。
・筆者の経験・推測は「(筆者推測)」と本文中に明示します。

問題発生——「採用するたびに3か月で辞めていく」

「この2年間で7名採用しました。でも3か月以内に辞めた人が4名います。採用コストも時間も無駄になって、現場も疲弊しています」——生活介護事業所(定員20名)を運営するPPP法人の施設長・QQQ氏の言葉です。

「なぜすぐ辞めるのか」をQQQ施設長に聞くと、「仕事がきつかった・思っていた仕事と違った・人間関係が合わなかった——退職理由はさまざまですが、要するにミスマッチです」という答えが返ってきました。

「では面接で何を聞いていますか?」という質問に、QQQ施設長はしばらく考えてから「志望理由と職歴ぐらいです」と答えました。

PPP法人の面接の実態(改善前)

  • 面接時間:約30分
  • 面接官:QQQ施設長1名
  • 主な質問内容:「志望理由は?」「前職は?」「介護の経験は?」
  • 施設の説明:「業務内容の説明」(一方的な説明が中心)
  • 求職者への質問への答え:「なんでも聞いてください」

コンサルの所感:

  • 「この人は施設に合うか」を確認する質問が一つもない
  • 「この施設でどう長く働くか」のビジョンを聞いていない
  • リアルな労働条件(しんどさ・大変さ)を伝えていない

原因分析——「入ってから気づく」を面接で防げなかった

問題①:仕事の「しんどさ」を正直に伝えていなかった(事実)

面接では良い面だけを伝えがちです。しかし「思っていたより体力的にきつかった」「こんなに大変だと思わなかった」という理由で辞める人は、事前に正直に伝えれば入職しなかった可能性があります(筆者推測:リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)という概念は採用研究で広く言及されており、仕事のリアルな側面を事前に伝えることが早期離職を防ぐという知見があります)。

問題②:「価値観・仕事観」を確認する質問がなかった(事実)

「志望理由」「職歴」だけでは、「この人がこの施設に合うかどうか」はわかりません。困ったときにどう対処するか・仕事で大切にしていることは何か——これらを聞かないと、人柄・価値観のミスマッチは防げません(筆者推測:価値観の確認が採用ミスマッチを防ぐという観察は採用実務の一般的な知見と整合しています)。

問題③:「長く働くビジョン」を確認していなかった(事実)

「5年後・10年後、この施設でどう働きたいか」を聞いていませんでした。転職を繰り返してきた方・「とりあえず仕事を」という動機の方は、ここで傾向が見えることがあります(筆者推測:この点は個人差が大きく、一般化は難しい。あくまで参考情報として聞く程度が適切です)。

改善策——面接を「相互確認の場」に変えた

変えたこと①:「リアルな仕事の説明」を面接の最初に入れる

面接の最初10分を「仕事のリアルな説明」に使うようにしました。良い面だけでなく、「体力的にしんどい場面もある」「利用者さんの行動に対応するのが難しいこともある」という本音の情報を伝えました。

(改善後の面接・冒頭の説明)
QQQ施設長:「まず、うちの仕事について正直にお伝えします。利用者さんとの関わりにやりがいを感じられる仕事ですが、体力的にきつい日もあります。排泄介助や移乗があり、慣れるまで体に負担がかかる場面もあります。それでも続けたいと思えるか、今日の面接で一緒に確認させてください」
求職者・田中氏:「正直に言っていただいてありがとうございます。実は前職でも体力的にきつかったのですが、それ以上に利用者さんとの関わりが楽しかったので、続けられました」
(QQQ施設長:この正直な返答に、採用の手応えを感じた)

変えたこと②:「価値観を確認する質問」を3つ追加する

面接に、以下の3つの質問を必ず入れるようにしました。

面接に追加した「価値観確認の質問」3つ

  • Q1:「これまでの仕事で、一番大変だったことと、それをどう乗り越えたかを教えてください」
    → 困難への対処スタイル・粘り強さ・振り返り力を確認する
  • Q2:「利用者さんが思い通りに動いてくれなかったとき、どう感じ・どう対応しますか?」
    → 障害福祉に対する姿勢・利用者への向き合い方を確認する
  • Q3:「5年後、仕事でどうなっていたいですか?」
    → 長期的な就労意向・キャリアへの考え方を確認する

【エビデンス注記】
上記の質問は「行動面接(Behavioral Interview)」の手法を参考にしています。過去の行動を聞くことで将来の行動を予測するという考え方に基づいています(参考:Schmidt & Hunter (1998), The validity and utility of selection methods, Psychological Bulletin)。ただし面接の予測妥当性は限定的であることも研究で示されており、過信は禁物です。

変えたこと③:「こんな方には向かない仕事かもしれません」を伝える

面接の最後に「この仕事が合わないかもしれない方の特徴」を正直に伝えるようにしました。「毎日同じルーティンが苦手な方」「感情移入しすぎてしまう傾向がある方」など、施設での就労が難しいケースを正直に共有します。「合わないと感じた方は、ここで言ってもらえると双方にとって良いと思っています」と伝えます。

「最初は勇気が要りましたが、これを言い始めてから、面接中に『自分には向かないかもしれないです』と自己判断してくれる方が出てきました。その方々は採用しても早期に辞める可能性が高かったと思うので、お互いのためになっています」とQQQ施設長(筆者推測)。

1年後の変化

指標 改善前(1年) 改善後(1年)
採用数 7名 5名
3か月以内の退職者 4名(57%) 0名
6か月後の在籍率 43%(3/7名) 100%(5/5名)
QQQ施設長の面接後の手応え 「よくわからない」 「合いそう・合わなそうがわかるようになった」

※ 上記は参考値です。在籍率の改善が面接改善のみによるものとは言い切れません(職場環境・受け入れ体制等の複合的な要因です)。また、1年という短期間の観察であり、長期的な定着については継続的なモニタリングが必要です。同様の成果を保証するものではありません。

【QQQ施設長の1年後の言葉】
「採用数は減りましたが、辞める人がいなくなりました。7名採用して4名が3か月で辞める時代から、5名採用して全員半年以上続いている時代になった。現場の疲弊が全然違います。面接は『いい人を選ぶ場』だと思っていたが、実は『お互いに合うか確認する場』だった。その視点の転換が一番大きかったです」

まとめ——「多く採用すること」より「合う人を採用すること」

採用でのミスマッチは、施設にとっても求職者にとっても不幸な結果をもたらします。面接を「一方的に評価する場」から「双方向の確認の場」に変えることで、入職後のミスマッチは減らせます(本事例の観察に基づく記述。統計的エビデンスではありません)。「採用してもすぐ辞める」という施設長は、まず面接に「仕事のリアルな説明」と「価値観を確認する質問3つ」を追加することから始めてください。

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