障がい者施設さま向け|経営の再生・改善を現場目線でまるごと支援 神奈川中心 × 全国対応|初回相談0円
改善事例

研修が属人的で積み上がらない|年間研修計画と記録の仕組みづくり

※本事例は、実際の複数の事例をもとに再構成した架空のモデルケースです。特定の法人や事業所を指すものではありません。文中の数字は、説明のために置いた仮定の数字であり、実際の事業所の実績や、効果を保証するものではありません。

はじめに

障害福祉の現場では、職員の研修が欠かせません。虐待防止、権利擁護、感染症対策、災害対応、支援技術など、学ぶべきテーマは多岐にわたります。一方で、研修が「時間が空いたときに、できる人が実施する」形になり、何を誰がいつ受けたのかが、運営者から見えなくなっている事業所も少なくありません。

今回は、運営者・法人の管理者の視点から、研修の計画と記録の仕組みをどのように整えるかを、モデルケースで考えます。

事例の概要

架空のA法人は、生活介護、就労継続支援B型、共同生活援助を運営しています。職員は常勤・非常勤を合わせて約40名です。研修は、各事業所の管理者の判断で実施されており、法人全体の年間計画はありませんでした。

ある運営指導の準備の際に、運営者は課題に気づきました。法令や指針で求められている研修について、実施した記録が事業所ごとにばらばらで、非常勤職員がいつ何を受けたのか、すぐに確認できなかったのです。また、新しく入った職員が、先輩の個人的な指導に頼って学んでおり、受けた教育の内容に差がありました。

運営者は、「研修をしていない」のではなく、「していても、積み上がっているかが見えない」ことが問題だと考え、仕組みの見直しに着手しました。

コンサルタントの視点――何が起きていたのか

このケースで重要なのは、各管理者の熱意の問題として片付けないことです。研修の企画、実施、記録、出席の確認が、すべて事業所ごと、あるいは担当者ごとに任されていました。この状態では、非常勤職員や夜勤の職員が受講の機会を逃しやすく、記録も散らばりやすくなります。

運営者の立場で考えるべきは、「研修を実施したか」だけでなく、「必要な職員が必要な研修を受けたことを、誰が、どのように確認しているか」という視点です。研修は実施して終わりではなく、受講の確認と、日々の支援への反映までがひとつながりだと、現場の実務では一般に考えられています。ただし、どこまでの仕組みが必要かは、職員数や事業の種類によって異なります。

見直しの手順

A法人では、次の順で見直しを進めました。最初に、現状の洗い出しです。過去1年間に実施した研修を、事業所ごとに一覧にし、誰が受講したか、記録が残っているかを確認しました。次に、法令や指針で求められている研修を、法人として整理しました。

研修の種類や頻度の基準は、サービスの種類や制度改正によって異なるため、最新の基準や指定権者の案内を確認し、不明な点は専門家にも相談しました。

そのうえで、四つの見直しを行いました。一つ目は、年間研修計画です。必須の研修と、法人として重視するテーマを、年度の初めに一覧にし、実施の時期を決めました。二つ目は、受講の機会の確保です。非常勤職員や夜勤の職員も受けられるよう、同じ内容を複数回実施したり、資料や動画で後から学べるようにしたりしました。

三つ目は、記録の一元化です。職員ごとの受講履歴を、法人で一つの様式にまとめ、受講日、内容、確認方法を記録しました。四つ目は、運営者による確認です。四半期ごとに、受講状況の一覧を運営者が確認し、未受講の職員への対応を決める形にしました。

数字で見る変化の見通し

ここでは、あくまで仮定の数字で、見直しの手間を考えてみます。職員40名が、年間に必須の研修を4種類受けると仮定します。この場合、受講の確認が必要な延べ件数は、40名×4種類=160件です。確認に1件当たり3分かかるとすると、年間の確認時間は、160件×3分=480分で、8時間です。四半期ごとに確認するなら、1回当たりは約2時間です。

この手間は、運営指導などの際に、記録を探し回る時間や、未受講が後から発覚した場合の対応にかかる負担と比べて、小さいかどうかを考える材料になります。ただし、これは説明のための単純な試算です。実際の手間は、記録の方法や職員数によって大きく異なります。

また、仕組みを整えれば、未受講や記録漏れが確実になくなるわけではありません。数字は、運営者が負担の目安を考えるために使うのが適切です。

運営者が特に気をつけた点

運営者として特に気をつけたのは、次の点です。まず、研修を「やらされるもの」にしないことです。研修の目的を、職員を管理するためではなく、支援の質を高め、職員自身を守るためだと繰り返し説明しました。次に、計画を詰め込みすぎないことです。

研修が多すぎると、現場の負担になり、形だけの参加になりがちです。必須のものを優先し、法人として重視するテーマは絞りました。

さらに、受講した内容が、日々の支援にどのように生かされているかを確認する機会を設けました。研修の後に、事例を持ち寄って話し合う時間をとることで、知識が現場の実践につながりやすくなると考えたためです。ただし、その効果は事業所によって異なり、すぐに目に見える形で表れるとは限りません。

実践アドバイス

同じような課題を抱える運営者の方に、次のような順序をお勧めします。まず、過去1年間の研修の実施状況と受講者を、一覧にしてください。誰が、何を、いつ受けたかが見えるだけで、抜けや偏りが分かります。次に、法令や指針で求められている研修を整理し、年度の初めに実施時期を決めます。

そのうえで、非常勤職員や夜勤の職員が受講できる方法を整え、受講の記録を一つの様式にまとめるとよいでしょう。

一方で、仕組みが定着するまでには時間がかかります。最初から完璧を目指さず、まず一覧表を作ることから始め、運用しながら改善していくことが大切です。

運営者のためのチェックリスト

  • ご自身の事業所を振り返るときの観点です。
  • 年間の研修計画が、法人全体で作られているか。
  • 法令や指針で求められている研修を、最新の基準で確認しているか。
  • 非常勤職員や夜勤の職員も、受講できる方法があるか。
  • 職員ごとの受講履歴が、一つの様式で記録されているか。
  • 運営者が定期的に、受講状況を確認しているか。
  • 研修で学んだ内容を、日々の支援に生かす機会があるか。
  • これらのうち、いくつ「はい」と答えられるかを、定期的に確認してみてください。

まとめ

研修は、実施するだけでなく、必要な職員が受けたことを確認し、日々の支援に生かしてこそ意味を持ちます。年間研修計画、受講の機会の確保、記録の一元化、運営者による確認。この四つを、続けられる形で整えることが、研修を積み上がるものにするための第一歩になります。

なお、必須とされる研修の種類や頻度、記録の取扱いは、サービスの種類や制度改正によって変わることがあります。実際に見直しを行う際は、最新の基準や通知を確認し、不明な点は指定権者(都道府県・市町村)や、専門家に確認したうえで進めてください。

運営指導に向けた記録の整え方は 自主点検で運営指導を「ノー指摘」で乗り切った施設の方法、虐待防止・権利擁護の研修の中身は 障害者施設における虐待防止の実践 と 「冗談のつもり」が虐待につながる前に、業務を人に頼らない形にする考え方は 「〇〇さんが休むと分からない」をなくす もあわせてご覧ください。

研修体制や運営の仕組みの見直しのご相談は サービス内容をご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

Contact

障がい者施設の経営、
Engoodが再生まで伴走します。

「稼働率が上がらない」「赤字が続いている」「加算を取りこぼしている」——そんな施設さまへ。
初回のご相談・経営診断は無料です。現状の見える化から、わかりやすくご案内します。