「うちには来てくれない」と思っていた施設が採用できるようになった理由|強みの見える化で採用力を上げた実例
——「選ばれない」のは施設のせいではなく「見せ方」のせいだった
【エビデンスと予測の区別について】
・登場する人物・施設は架空です(実際のコンサル支援先を参考に加工)。
・「施設の魅力の可視化が採用につながる」という記述は本事例の観察に基づきます。統制されたエビデンスではありません。
・筆者の経験・推測は「(筆者推測)」と本文中に明示します。
問題発生——「給料が低いから来ない」という思い込み
「うちは給料が高くないので、求人を出しても来てくれません。大きな法人には勝てない」——就労継続支援B型(定員20名)を運営するNNN法人の管理者・OOO氏の言葉です。
OOO管理者は「採用できないのは給与が低いから」という確信を持っていました。しかしコンサルが「応募者に採用しなかった理由を聞いたことはありますか?」と質問すると、「聞いたことはない」という返答でした。
「原因を確認せずに諦めていた——それが最初の問題でした」とOOO管理者は後に振り返っています。
(初回面談・コンサルとOOO管理者)
コンサル:「過去に応募してきた方で、断った方はいますか?」
OOO管理者:「はい、2名います。スキルが合わなかったので……」
コンサル:「その方々に『なぜうちを選んでくれたか』を聞きましたか?」
OOO管理者:「聞いていません」
コンサル:「実は、応募してきた人が『なぜここに応募したか』を知ることが施設の強みを知る最短ルートです。次に応募が来たとき、ぜひ聞いてみてください」
「なぜ応募してくれたか」を聞いて見えてきたこと
その後、見学に来た求職者に「なぜうちに応募しようと思ったか」を毎回聞くようにしました。3か月間で7名の見学者から聞いた理由を集計すると、予想外の答えが並びました。
見学者7名が「応募した理由」として挙げた内容(参考値・複数回答)
- 「利用者さんとの関わりが楽しそうに見えた(ブログ・Facebookの投稿)」:4名
- 「職場が明るそうだった(写真を見て)」:3名
- 「小規模で利用者との距離が近そう」:3名
- 「理事長のブログが誠実な感じがした」:2名
- 「給与が理由」:0名
OOO管理者の感想:
「給与が理由で来た人は一人もいなかった。私が強みだと思っていないものが、強みだった」
「小規模であること」「利用者との距離が近いこと」——OOO管理者が「大きな施設に負ける弱点」だと思っていたものが、求職者には「強み」として映っていたのです。
改善策——「強みの見える化」3つの取り組み
取り組み①:施設のFacebookページを「採用ツール」として活用する
「利用者さんとのエピソード」「職員の日常」「施設での楽しい場面」を週1〜2回投稿するようにしました。「宣伝ではなく、日常を見せる」というコンセプトで継続しました。
「最初は恥ずかしくて、写真を載せるのが怖かった。でも投稿を始めたら、見学に来た方が『SNSで見てイメージが湧いた』と言ってくれるようになりました」とOOO管理者(筆者推測:SNS発信が採用に与える効果を直接示すデータは確認できていませんが、本事例での観察に基づくものです)。
取り組み②:職場見学を「体験型」に変える
従来の見学は「施設を案内して終わり」でした。これを「利用者さんとの昼食に同席してもらう」「支援の様子を30分観察してもらう」「職員との15分のQ&Aタイムを設ける」という体験型に変更しました。
「見学後の感想が変わりました。以前は『わかりました、検討します』だけだったのが、『ここで働きたいです』という言葉が出るようになった」とOOO管理者。
取り組み③:「求人票に書ける強み」を職員と一緒に洗い出す
職員に「うちの施設の好きなところ・自慢できるところ」を匿名で書いてもらいました。出てきた言葉は「利用者さんの名前を全員覚えていること」「困ったときに必ず誰かが助けてくれること」「施設長が現場をよく知っていること」——これらを求人票の「職場の雰囲気」に盛り込みました。
1年後の採用結果
| 指標 | 改善前(1年) | 改善後(1年) |
|---|---|---|
| 年間応募数 | 4件 | 18件 |
| 採用数 | 1名 | 4名 |
| 見学後の「ここで働きたい」発言 | 把握なし | 7名中5名 |
| OOO管理者の「採用への自信」 | 「うちには来ない」 | 「うちに合う人が来るようになった」 |
※ 上記は参考値です。改善の程度は地域の求職者数・施設の条件・競合状況により異なり、同様の成果を保証するものではありません。
【OOO管理者の1年後の言葉】
「給料が低いから来ないと思い込んでいた。でも『なぜ来てくれたか』を聞いたら、給料以外の理由ばかりだった。私が弱点だと思っていたものが、強みだった。見せ方を変えるだけで、こんなに変わるとは思いませんでした」
まとめ——採用できない原因は「条件」より「見えていないこと」
「うちには来てくれない」という言葉の背景には、多くの場合「施設の強みが求職者に届いていない」という問題があります(筆者推測:本事例および複数のコンサル事例からの観察です)。強みは「大きな施設にしかない」ものではありません。小規模・アットホーム・利用者との距離の近さ——これらは大きな施設にはない魅力です。まず「なぜうちに応募してくれたか」を聞くことから始めてください。
採用の入口である面接そのものを見直した事例は 採用面接を変えたら「すぐ辞める人」が来なくなった施設の工夫、採用した職員が長く働ける環境づくりは 職員の離職・定着支援、離職率が高い施設に共通する要因は 離職率が高い施設に共通すること もあわせてご覧ください。
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