障がい者施設さま向け|経営の再生・改善を現場目線でまるごと支援 神奈川中心 × 全国対応|初回相談0円
改善事例

設備が壊れるたびに資金繰りが苦しくなる|中長期の修繕・更新計画で支出を平準化する

※本事例は、実際の複数の事例をもとに再構成した架空のモデルケースです。特定の法人や事業所を指すものではありません。文中の数字は、説明のために置いた仮定の数字であり、実際の事業所の実績や、効果を保証するものではありません。

はじめに

空調設備、給湯器、屋根や外壁、送迎車両など、障害福祉の事業所には、いつか更新の時期を迎える設備があります。ところが、普段の運営で目に見えにくいため、故障してから慌てて対応する事業所は少なくありません。突然の大きな支出は、資金繰りに影響し、場合によっては、利用者の生活環境や、サービスの継続にも影響します。

今回は、運営者の視点から、設備の修繕・更新を計画的に見通し、支出を平準化する方法を、モデルケースで整理します。

事例の概要

架空のK法人は、生活介護とグループホームを運営しています。開所から約12年が経ち、建物や設備の老朽化が進んでいます。この夏、生活介護の空調設備が2台同時に故障し、その直後に、グループホームの給湯器も故障しました。緊急の対応で、合計160万円の支出が、短期間に集中しました。

運営者は、資金繰りに余裕がなく、急いで借入の相談をしました。振り返ると、設備の購入年も、更新の目安も、一覧にまとめられていませんでした。月次の収支は黒字でしたが、修繕のための積立は行っておらず、突発的な支出に備えた資金がありませんでした。

コンサルタントの視点――何が起きていたのか

このケースの問題は、設備の更新が、発生してから対応する「出来事」として扱われ、経営の計画に組み込まれていなかったことです。設備には寿命があり、いつか更新が必要になることは、あらかじめ分かっています。分かっている支出に備えないまま運営すると、一時的に黒字に見えても、実際には将来の負担を先送りしている可能性があります。

運営者の立場で考えるべきは、修繕・更新にかかる費用を、毎月の運営費用の一部として捉えることです。設備ごとに、いつ、いくらかかるかを見通し、年あたりの負担に直して、毎月の資金計画に反映させることが重要です。

見直しの手順

K法人では、次の順で見直しを進めました。最初に、建物と設備の一覧を作り、種類、台数、購入時期、状態、更新の目安を整理しました。業者の点検を受けて、状態の確認も行いました。

そのうえで、五つの見直しを行いました。一つ目は、更新の優先順位づけです。利用者の安全や健康に直結する設備、たとえば空調や給湯、消防設備を優先しました。二つ目は、費用の見積もりです。複数の業者から見積もりを取り、相場を確認しました。

三つ目は、年あたりの負担額への換算です。更新費用を、耐用期間で割って、毎年必要な金額を出しました。

四つ目は、積立の仕組みです。毎月、一定額を別の口座に確保し、突発的な故障の際にも、そこから対応できるようにしました。五つ目は、定期点検の実施です。故障の前兆を早めに見つけ、大きな故障を避けるために、年に一度の点検を決めました。

なお、修繕と更新の会計処理、積立金の扱い、国や自治体の補助制度の有無、法人の種類に応じた会計基準は、法人の形態や制度によって異なります。見直しを行う際は、最新の制度や通知を確認し、指定権者(都道府県・市町村)、税理士や公認会計士などの専門家に確認したうえで進めてください。

数字で見る変化の見通し

ここでは、あくまで仮定の数字で、設備の更新にかかる年あたりの負担を計算してみます。まず、空調設備です。6台あり、1台60万円、耐用期間を15年と仮定すれば、6台×60万円÷15年=24万円です。給湯器は、2台で、1台40万円、耐用期間を12年と仮定すれば、2台×40万円÷12年=約6.7万円です。

屋根と外壁の改修は、400万円、耐用期間を20年と仮定すれば、400万円÷20年=20万円です。送迎車両は、2台で、1台200万円、耐用期間を8年と仮定すれば、2台×200万円÷8年=50万円です。

これらを合計すると、24万円+約6.7万円+20万円+50万円=約100.7万円で、年あたり約100.7万円の負担になります。月に直すと、約100.7万円÷12か月=約8.4万円です。

ここで、事業所の月次の営業利益を考えてみます。月間の収入を600万円、営業利益率を3%と仮定すると、600万円×3%=18万円です。月に積み立てるべき約8.4万円は、この18万円の約47%にあたります。つまり、毎月の黒字に見えていた利益の約半分が、将来の設備更新のために必要だったことになります。

ただし、これは説明のための単純な試算です。実際の耐用期間は、設備の使用状況や保守によって変わり、費用も、物価や仕様によって変動します。また、補助制度が使える場合や、借入と組み合わせる場合には、必要な積立額は変わります。大切なのは、設備更新の負担が運営に与える大きさを、運営者が数字で把握することです。

運営者が特に気をつけた点

運営者として特に気をつけたのは、次の点です。まず、利用者の安全と健康に関わる設備を、最優先にすることです。夏の空調や冬の給湯は、利用者の健康に直結します。次に、見積もりを一社だけで決めないことです。緊急時には選択肢が限られがちなので、普段から複数の業者との関係をつくっておきました。

さらに、計画を、運営者だけでなく、管理者や経理の担当者とも共有しました。設備の状態は、現場の職員が最もよく気づきます。異音や不具合に気づいたときに、すぐに管理者へ伝える流れも決めました。積立を、利益が出た月に行うのではなく、毎月の固定費として扱うことにしました。

実践アドバイス

同じような課題を抱える運営者の方に、次のような順序をお勧めします。まず、建物と設備の一覧を作り、購入時期と更新の目安を確認してください。次に、更新に必要な費用を、年あたりの負担に直し、毎月の資金計画と見比べてください。

一方で、一度にすべてを整えようとすると、負担が大きくなります。まず、利用者の健康に直結する設備や、故障すると運営が止まる設備から着手し、優先順位に沿って進めることが大切です。積立が難しい場合は、収支の見直しや、補助制度、借入の活用なども含め、専門家に相談してください。

運営者のためのチェックリスト

ご自身の事業所を振り返るときの観点です。

  • 建物と設備の一覧があり、購入時期と更新の目安が分かるか。
  • 利用者の安全や健康に直結する設備の優先順位が決まっているか。
  • 更新費用を、年あたりの負担額に換算しているか。
  • 修繕のための積立を、毎月の資金計画に組み込んでいるか。
  • 定期的な点検を行っているか。
  • 複数の業者から見積もりを取れる関係があるか。
  • 補助制度や、会計処理の取扱いを、専門家に確認しているか。

まとめ

設備の修繕と更新は、故障してから対応する出来事ではなく、あらかじめ見通せる経営上の支出です。設備の一覧、優先順位、年あたりの負担の換算、毎月の積立、定期点検を整えることで、突然の支出が資金繰りに与える影響を、和らげられる可能性があります。ただし、設備の状態や費用は変動するため、計画は、定期的に見直す必要があります。

なお、制度や基準は、サービスの種類や制度改正によって変わることがあります。実際に見直しを行う際は、最新の基準や通知を確認し、不明な点は指定権者(都道府県・市町村)や専門家に確認したうえで進めてください。

毎月の収支の見方は 月次収支と損益分岐点の事例、売上があっても資金が残らない原因の整理は 売上を分解するコラム、借入の備えは 資金調達を仕組みにした事例、補助制度の情報の集め方は 補助金・助成金の事例 もあわせてご覧ください。

収支や資金計画の見直しのご相談は サービス内容をご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

Contact

障がい者施設の経営、
Engoodが再生まで伴走します。

「稼働率が上がらない」「赤字が続いている」「加算を取りこぼしている」——そんな施設さまへ。
初回のご相談・経営診断は無料です。現状の見える化から、わかりやすくご案内します。