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改善事例

相談支援事業所との連携で利用者紹介が倍増|生活介護の稼働率改善

「待っていても来ない」から「選ばれる施設」へ。

問題発生——定員20名に対し、常時4〜5名の空き

「新規の利用者が来ない。空きがあるのに紹介が来ない。待っているだけでは何も変わらない——そう気づいたのが1年前です」——生活介護事業所(定員20名)を運営するM法人の施設長・N氏の言葉です。

M法人は開所から5年。支援の質には自信がありました。しかし定員20名に対して常時4〜5名の空きが続いており、月間の機会損失は約20〜25万円に上っていました。

「うちの施設のことを知ってもらえれば、来てもらえる自信はある。でもどうやって知ってもらうか、全くわからなかった」とN施設長。開所以来、新規利用者の獲得はほぼ口コミと偶然の紹介だけに頼ってきました。

M法人の新規利用者獲得の実態(改善前)

  • 定員20名・平均在籍15〜16名(空き4〜5名が常態化)
  • 年間新規利用者数:3〜4名(ほぼ自然流入)
  • 新規利用者の紹介元:家族の口コミ2名・行政窓口1名・その他1名
  • 相談支援事業所からの紹介:年間0〜1件
  • 地域の相談支援事業所との関係:「名前は知っている」程度
  • 施設見学の受け入れ:年間2〜3件

→ 空き1名あたりの月間機会損失:約5〜6万円
→ 常時4〜5名の空きで年間損失:約240〜300万円(試算)

【N施設長の言葉】
「支援の質を上げることには力を入れてきた。でも『知ってもらう努力』を一度もしたことがなかった。良いものを作れば自然に人が来ると思っていたが、それは幻想でした」

原因分析——「紹介が来ない」本当の理由

障害福祉サービスでは、利用者の多くは相談支援専門員を通じて事業所とつながります。相談支援専門員が「この利用者にはあの施設が合いそう」と判断したとき、初めて紹介が来る仕組みです。M法人に紹介が来なかった理由を整理すると、3つの構造的な問題が見えてきました。

理由①:相談支援専門員に「施設の中身」が伝わっていなかった

M法人のことを「知っている」相談支援専門員は地域に一定数いました。しかし「どんな利用者が向いているか」「どんな支援が得意か」「空きがあるかどうか」——こうした具体的な情報を持っている相談支援専門員はほとんどいませんでした。

「名前は知っているが、どんな施設かよくわからない。わからない施設には紹介しにくい」——これが相談支援専門員側の本音です。

理由②:「紹介したい」と思わせる関係性がなかった

相談支援専門員は日々、複数の施設と関わっています。その中で「あの施設は対応が丁寧だ」「報告が早い」「困ったとき一緒に考えてくれる」という実績がある施設に、自然と紹介が集まります。M法人は既存の利用者を通じて接点はありましたが、「信頼関係を積み重ねる」という意識で関わったことはありませんでした。

理由③:「空きがある」ことが相談支援専門員に伝わっていなかった

相談支援専門員が利用者に合った施設を探すとき、まず「空きがあるかどうか」を確認します。M法人は常時4〜5名の空きがありましたが、それを積極的に発信していませんでした。「空きがあることを伝えるだけでも、候補に入れてもらいやすくなる」——この単純な事実に気づいていませんでした。

改善策——N施設長が実施した「3つのアプローチ」

N施設長はコンサルとの対話を経て、「相談支援専門員との関係は一朝一夕には変わらない。でも正しいアプローチを続ければ、着実に変わっていく」という確信を持ち、以下の3つを半年間継続しました。

アプローチ①:「施設紹介シート」を作って持参する

相談支援専門員が「紹介しやすい施設」になるために、まず「施設の中身が一目でわかる資料」を作成しました。A4一枚の「施設紹介シート」です。

施設紹介シートの記載内容(A4・1枚)

  • ①施設の基本情報(定員・現員・空き状況・送迎エリア)
  • ②こんな方に向いています(対応できる障害種別・支援内容の特徴)
  • ③1日の流れ(プログラムの概要・食事・入浴等)
  • ④スタッフ体制(職員数・資格・専門性)
  • ⑤見学随時受付中・担当者の連絡先

ポイント:「空き〇名あり」を目立つ場所に明記する/「こんな方は対応が難しい」も正直に書く(ミスマッチを防ぐため)/顔写真入りのスタッフ紹介を入れると親近感が増す。

このシートを持って、地域の相談支援事業所10か所を直接訪問しました。アポなしの訪問は迷惑になることもあるため、事前に電話で「5分だけお時間いただけますか」と確認した上で伺いました。

アプローチ②:「月1回の情報提供」を習慣化する

訪問した相談支援事業所10か所に対して、毎月1回・メールまたはFAXで「施設だより(1枚)」を送ることにしました。内容は「今月の利用者の様子」「空き状況の更新」「新しく始めたプログラムや取り組み」の3点です。

「毎月届くことで、存在を忘れられない。読まれなくてもいい、届くことに意味がある」とN施設長。半年間続けたところ、複数の相談支援専門員から「あの施設、最近よく見かけるね」という声が届きました。

【施設だよりで心がけたこと】

  • 利用者の「良い変化」を具体的な場面で紹介する(個人が特定されない形で)
  • 空き状況を毎回更新して記載する
  • 「こんな方の受け入れが可能です」という情報を具体的に書く
  • 担当者の名前・顔写真を入れて「誰に連絡すればいいか」を明示する

「広告チラシではなく、施設の日常を伝える手紙のイメージで作った」(N施設長)

アプローチ③:「紹介してもらった後」の対応を変える

最も重要だったのは、紹介を受けた後の対応の変化でした。以前は見学→体験利用→契約という流れを「施設のペース」で進めていましたが、改善後は、紹介してくれた相談支援専門員に対して「見学の結果」「体験の様子」「契約に至ったかどうか」を必ず報告するようにしました。

「紹介後の報告」の仕組み

  • 【見学後(当日中)】紹介元の相談支援専門員に電話またはメールで見学の様子を報告(「本日はご紹介ありがとうございました。○○さんは〜な様子でした」)
  • 【体験利用後(翌日)】体験の様子・本人の反応・課題と感じた点を簡潔に報告
  • 【契約・不成立後】結果と理由を報告。不成立の場合は「他に合いそうな施設があれば紹介します」と添える

「報告がある施設は、次も紹介しやすい。どうなったかわからない施設には紹介しにくい」(ある相談支援専門員の言葉)

改善後の変化——半年後・1年後

指標 改善前 半年後 1年後
相談支援事業所との関係 10か所中0か所と定期的な接点 10か所すべてと接点あり うち4か所と信頼関係を実感
相談支援専門員からの見学依頼 年間2〜3件 半年で8件 年間18件(約6倍)
相談支援専門員からの新規紹介 年間0〜1件 半年で4件 年間11件(倍増以上)
新規利用開始者数 年間3〜4名 半年で5名 年間12名(約3倍)
平均在籍者数 15〜16名 17〜18名 19〜20名(ほぼ満員)

※ 上記はコンサル支援先の事例をもとにした参考値です。地域の相談支援事業所数・競合施設数・サービス種別により異なり、同様の成果を保証するものではありません。

【ある相談支援専門員の言葉(1年後)】
「M法人さんは、紹介した後の報告が必ずある。見学がうまくいかなかったときも、丁寧に連絡をくれる。そういう施設は信頼できる。次の方を紹介するときも、真っ先に候補に挙げます」

相談支援専門員が「施設を選ぶ」視点を知る

相談支援専門員が利用者に施設を紹介するとき、どのような基準で選んでいるかを知ることが、連携強化の出発点になります。

相談支援専門員が施設選びで重視すること(ヒアリングより)

  • ①本人に合った支援内容かどうか(障害特性・支援ニーズへの対応力)
  • ②空きがあるかどうか・すぐ動けるかどうか
  • ③見学・体験の受け入れが柔軟かどうか
  • ④連絡・報告が丁寧かどうか(紹介後の対応)
  • ⑤過去に紹介した利用者が定着しているかどうか
  • ⑥職員の雰囲気・施設の空気感
  • ⑦担当者として「この施設に紹介しても大丈夫」という安心感があるかどうか

支援の質は必要条件です。しかし「④報告の丁寧さ」「⑦安心感」が、選ばれる決め手になりやすいといえます。

まとめ——「良い施設」は「知られている施設」でなければ意味がない

M法人の事例が示すのは、「支援の質を上げるだけでは稼働率は上がりにくい」という現実です。いくら良い支援をしていても、相談支援専門員に知られていなければ、紹介にはつながりません。

しかし、相談支援専門員との関係構築は特別なスキルを要しません。施設紹介シートを持参して挨拶する・月1回情報を送る・紹介後に必ず報告する——この3つを半年続けることで、紹介は少しずつ変わっていきます。

「営業が苦手」という施設長は多いですが、相談支援専門員への働きかけは「営業」ではありません。「私たちの施設を知ってもらい、必要な方につないでもらうための情報提供」です。その視点で動くと、動きやすくなります。

「空きがあるのに紹介が来ない」と感じている施設長は、まず地域の相談支援事業所に「施設紹介シート」を持って挨拶に行くことから始めてみてください。なお、Engoodでは稼働率・利用者の確保のご支援として、こうした連携づくりも一緒に進めています。

稼働率改善・相談支援事業所との連携強化・集客支援についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

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