地域連携推進会議の進め方|グループホームの構成員選び・見学・議事録公表まで
地域連携推進会議は、障害者グループホーム(共同生活援助)と障害者支援施設に、令和7年度から義務づけられた仕組みです。利用者や家族、地域の方などを構成員とする会議をおおむね1年に1回以上開き、それとは別に構成員が事業所を見学する機会もおおむね1年に1回以上設けて、会議の記録を公表します。「誰に頼めばいいのか」「何を話せばいいのか」「議事録はどこに出すのか」で手が止まっている事業所も多いのではないでしょうか。この記事では、厚生労働省の手引きと省令をもとに、構成員の選び方から公表までの流れを整理し、横浜市でグループホームを運営している場合の独自の運用もあわせて紹介します(2026年9月時点の情報です)。
地域連携推進会議とは|グループホームに入る「外部の目」
地域連携推進会議とは、グループホームなどの事業者が、利用者やその家族、地域の関係者などを構成員として開く会議で、事業の運営状況を報告し、構成員から要望や助言を聴く場のことです。会議の構成員が事業所を訪ねる「見学」とセットになっている点が特徴です。
厚生労働省の「地域連携推進会議の手引き」は、会議の目的として次の4つを挙げています。
- 利用者と地域との関係づくり
- 地域の人への施設等や利用者に関する理解の促進
- 施設等やサービスの透明性・質の確保
- 利用者の権利擁護
グループホームは生活の場であり、外からは運営が見えにくい面があります。そこに地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れることが、この会議のねらいです。
省令で決まっていること
指定障害福祉サービスの運営基準(平成18年厚生労働省令第171号)のうち、共同生活援助について定めた第210条の7は、地域連携推進会議について次のことを定めています。
| 項目 | 定められている内容 |
|---|---|
| 構成員 | 利用者及びその家族、地域住民の代表者、共同生活援助について知見を有する者、市町村の担当者等 |
| 会議 | おおむね1年に1回以上開催し、事業の運営に係る状況を報告して、要望・助言等を聴く(テレビ電話装置等の活用も可) |
| 見学 | 会議のほか、おおむね1年に1回以上、構成員が事業所を見学する機会を設ける |
| 記録 | 報告・要望・助言等の記録を作成し、公表する |
手引きでは、会議と見学はそれぞれおおむね1年に1回以上とされ、「令和6年度は努力義務、令和7年度以降は義務」と説明されています。なお、外部の者による評価とその実施状況の公表、またはこれに準ずる措置として都道府県知事(指定都市・中核市では市長)が定めるものを講じている場合は、会議・見学・記録公表の定めを適用しない扱いもあります。どの措置が当たるかは指定権者の定めによるため、所管の窓口で確認してください。
厚生労働省が令和8年2月に出した「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン(第1版)」も、この会議について、記録を5年間保存すること、新たに指定を受ける場合は指定申請の時点で会議が「すでに設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要」であること、利用者の居室の見学はその居室の利用者の了承を得てから行うことを示しています。
外部サービス利用型のグループホームにも第210条の7が準用されます(第213条の22)。日中サービス支援型のグループホームは第213条の10に同じ内容の定めがあり、これに加えて協議会等への定期的な報告も求められています。詳しくは日中サービス支援型グループホームの開設・運営支援のページで整理しています。
障害者支援施設については、指定障害者支援施設等の運営基準(平成18年厚生労働省令第172号)第24条の2に同様の定めがあります。以下では、グループホームを中心に説明します。
構成員の選び方|必須は「利用者・家族・地域の関係者」
構成員は、利用者・利用者家族・地域の関係者の3者が必須で、人数は5名程度が望ましいとされています。手引きが想定している構成員は次のとおりです。
| 構成員 | 扱い | 手引きが示す考え方 |
|---|---|---|
| 利用者 | 必須 | 意思表示が難しい方は、成年後見人や家族の代理などの工夫をしつつ、できる限り本人にも参加してもらう |
| 利用者家族 | 必須 | 多様な視点を入れるため、構成員の利用者とは別の利用者の家族が望ましい。家族の参加が難しい場合は、成年後見人や家族会の会員など、家族の代弁者となり得る方の参加が望ましい |
| 地域の関係者 | 必須 | 自治会・町内会、民生委員、商店街、学校関係者、地域のNPO法人、近隣の住民など |
| 福祉に知見のある人 | 任意 | 地域の他の障害福祉サービス事業者など。同一法人や系列法人の人は望ましくない |
| 経営に知見のある人 | 任意 | 福祉サービスの経営に携わる人や、財務諸表から経営状況を把握して助言できる人 |
| 市町村の担当者等 | 任意 | 障害福祉の所管課の担当者、基幹相談支援センターの職員など |
「役職」ではなく「理由」で依頼する
構成員選びでつまずきやすいのが地域の関係者です。自治会長や民生委員に頼めば形は整いますが、横浜市の補足版手引きは、役職を務めていることだけを理由に依頼するのではなく、利用者がふだん立ち寄る商店街の方や顔を合わせる近所の方など、真に適任と考えられる方を検討するよう求めています。
依頼するときは、なぜその方に参加してほしいのかを言葉にして伝えることが大切です。構成員は見学のときに利用者の個人情報に触れる可能性があるため、手引きでは秘密保持の約束をしてもらうことも必要とされています。厚生労働省のページには参加依頼文の例が掲載されており、横浜市版の参加依頼文フォーマットには、秘密保持の約束を含む参加承諾書が別紙として付いています。
開催から公表までの流れ|9つのステップ
手引きは、準備から公表までを次の9段階で示しています。初めての年は、この順番で年間の予定に落とし込むと進めやすくなります。
- 構成員の選定:任期は事業所ごとに決める。交代は一度に全員を入れ替えず段階的に
- 構成員への就任依頼:会議の目的を説明し、承諾を得たら参加承諾書を出してもらう
- 会議日程の調整:開催の1か月前までに日程を決めるのが望ましい。欠席者には事前に資料を送り意見を聴く
- 会場の確保:事業所内が望ましいが、一戸建てのホームなどでは公民館や外部の会議室、オンラインも可
- 議題の検討:出席者の顔ぶれに合わせて議題を決める
- 会議資料の作成:個人名や個人が特定される情報を載せない
- 会議の開催:管理者だけでなく、ふだん利用者と接する職員も出席するのが望ましい
- 議事録の作成:速やかに作成し、利用者や構成員の個人が特定される部分は削除する。参加した構成員に内容を確認してもらう。会議結果の概要をまとめたものでも可
- 議事録・資料の公表:ホームページや広報誌への掲載、事業所内への掲示など
議題は「報告」だけにしない
手引きは、この会議が施設やサービスに点数を付ける場ではなく、構成員と職員が率直に意見交換する場であるとしています。議題の例として挙がっているのは、利用者の日常生活の様子、施設等の運営状況(収支など)、BCP(業務継続計画)の策定状況、虐待・事故・ヒヤリハットの報告、近隣からの苦情の共有、地域行事の案内などです。会議は2時間程度を確保することが望まれるとされています。
虐待や事故の報告を議題にすることに抵抗を感じる事業所もあると思いますが、手引きは、共有する意義を説明して理解を得るよう求めたうえで、個人が特定されない配慮を前提にしています。ただし、虐待が疑われる事案は、会議で共有しても市町村への通報の代わりにはなりません。障害者虐待防止法は、施設の職員などによる虐待を受けたと思われる障害者を見つけた人は、速やかに市町村に通報しなければならないと定めています(第16条)。
2回目以降は、前回からの変更点・改善点を報告したうえで議題を絞り、深掘りする形が勧められています。
見学は「共同生活住居ごと」に
会議は指定を受けた事業所単位で開きますが、見学(構成員の訪問)は共同生活住居ごとに年1回以上の機会を設けるよう示されています。1つの事業所で住居を2か所運営していれば、会議は年1回以上、訪問は2か所それぞれで年1回以上という考え方です。前述のガイドラインでは、サテライト型住居もこの「住居」に含むとされています。一戸建てのホームに大勢で一度に訪ねるのは難しいため、月ごとに訪問者を分けるなど、利用者と職員の負担にならない調整も必要になります。
個人情報と「知られたくない」への配慮
利用者や家族の中には、障害があることやサービスを使っていることを地域に知られたくない方もいます。手引きは、すべての利用者と家族に、会議や見学を通じて地域の方と顔を合わせることについて意向を確認するよう求めています。望まない方を無理に会議に出したり、見学のときに構成員と顔を合わせたりしないことが前提です。個人情報を扱った資料は、会議の後に回収するなどの配慮も示されています。
横浜市でグループホームを運営している場合の注意点
横浜市は、厚生労働省の手引きに市の考え方を加えた「地域連携推進会議の手引き【横浜市補足版】」(Ver.2・令和7年6月)と、「横浜市指定共同生活援助事業者等における地域連携推進会議設置運営要綱」(令和7年4月1日施行)を出しています。市内で運営している場合は、国の手引きに加えて次の点を押さえておく必要があります。
- 実施状況報告書の提出:要綱では、会議等の終了後速やかに実施状況報告書を市に提出することとされ、提出は電子申請・届出システムで行います。報告書は5年間保存します
- 市のホームページでの公表:事業所での公表に加えて、市が毎年度、実施の有無や開催日などを公表するとしています
- 3年を目途とした関係づくりの期間:新たに設置した事業者や、地域との関係がまだ深まっていない事業者は、3年を目途に地域との関係づくりに取り組む期間を設けることができ、取組計画書を提出すれば、その取組を会議・見学に代わるものとして扱うとしています。要綱では、この期間は事業所の指定を受けた日から数え、令和7年3月31日以前に指定を受けたグループホームは令和7年4月1日が開始日とされています(自事業所の期間がいつまでかは、市の窓口で確認してください。これから新たに指定を受ける場合は、前述の国のガイドラインが指定申請の時点での会議の設置(またはその見込み)を求めていることとの関係も、申請前に市の窓口で確認しておくと安心です)
- 見学する住居の選び方:多数の住居を設置している事業所は、その年度に見学する住居を1戸以上選定して行うとしています。会議と同じ日に見学することも可能としています
- 合同開催:同じ日常生活圏域にある複数の事業所は、事業者が違っても合同で開催できます(他の事業者に個人情報が伝わらない配慮が必要)
- 開催方法の柔軟さ:懇話会のような形式や、事業所のイベントに合わせた開催も考えられるとしています。既存の運営委員会の活用も可能ですが、別の会議として人選と依頼を改めて行う必要があります
提出書類の様式や最新の運用は、横浜市ホームページ「地域連携推進会議について」で確認できます。川崎市や相模原市、神奈川県所管の地域など、横浜市以外で運営している場合は、指定権者ごとに運用が異なることがあるため、所管の窓口で事前に確認してください。
形だけの会議にしないために|運営する側から見たポイント
地域連携推進会議は、義務だから開くだけだと、準備の手間に対して得るものが少なくなりがちです。手引きも、地域との連携が深まることで地域での事業運営がしやすくなることや、虐待防止研修や個別支援計画がうまくいっているかを外部の方に見てもらう機会になることを挙げています。
私たちEngoodは、自社で障害福祉施設を20年以上運営してきました。当コラムの整理では、施設側で取り組みやすいのは次の3点です。
- 年間計画に組み込む:会議・見学・議事録の公表・(横浜市なら)実施状況報告書の提出を、年度の予定表に最初から入れておく
- 日ごろの地域とのつながりから人選する:会議のためだけに構成員を探すと依頼が難しくなるため、自治会への加入や地域行事への参加など、ふだんの関わりを先に作る
- 会議で出た意見を次の運営に反映する:出た要望や助言にどう対応したかを次の会議で報告すると、2回目以降の議題も自然に決まる
地域との関係づくりは、入居者の募集や近隣との関係など、ホームの運営そのものにもつながると私たちは考えています。グループホームの入居率を戻す見直しについては入居者の退去が続くときのコラムでも取り上げています。
会議の設計や資料づくり、運営基準全体の点検まで含めて見直したい場合は、専門家と一緒に整理するのも一つの方法です。障害者グループホームの経営・開設支援では、開設準備から運営基準への対応、入居率と収支の立て直しまでをご案内しています。
出典:厚生労働省ホームページ「3.共同生活援助」掲載の「地域連携推進会議の手引き」(令和5年度障害者総合福祉推進事業)、「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン(第1版)」(令和8年2月)。横浜市の運用は、同市ホームページ掲載の補足版手引き・設置運営要綱によります。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
Engood合同会社は、横浜市都筑区を拠点に、神奈川県を中心として全国の障害福祉サービス事業所の経営改善をご支援しています。自社で障害福祉施設を20年以上運営してきた経験から、地域連携推進会議のような運営基準への対応も、現場で続けられる形で一緒に考えます。初回のご相談は無料です。横浜・神奈川でグループホームを運営されている方は、お気軽にお問い合わせください。


