障がい者施設さま向け|経営の再生・改善を現場目線でまるごと支援 神奈川中心 × 全国対応|初回相談0円
改善事例

求人広告を出す前に「実習生」を採用候補に変える|年間30人が施設を訪れているのに採用ゼロだった法人が、見学・実習を人材採用の入口へ変えた事例

※本記事は架空のモデル事例です。採用活動では本人の自由意思を尊重し、学校・養成機関等との実習目的を損なわない運用が必要です。実習評価と採用勧誘を混同せず、適切な時期・方法で行うことが前提です。

はじめに――年間30人も来ているのに、誰も応募しなかった

ある障害福祉法人では毎年、学生実習、職場体験、施設見学、ボランティア合わせて約30人が施設を訪れていました。一方、採用担当者は求人サイトへ年間数十万円を使っています。「応募が来ません」というのが毎年の悩みでした。そこで質問しました。

「昨年、実習に来た学生のうち何人へ採用情報を案内しましたか?」答えは、「特にしていません」でした。実習最終日。学生が、「ありがとうございました」と帰る。職員も、「お疲れさまでした」で終了。その後の連絡はありません。つまり法人は、自分たちの施設を数日間体験し、職員や利用者を知ってくれた人を、毎年30人そのまま帰していたのです。

1.改善前の状況――実習を「学校対応」としか考えていなかった

実習生が来ると、担当職員を決める、説明する、記録を確認する、評価表を書く、学校へ返す。これで終了です。採用担当者と実習担当者は別でした。採用担当者は求人サイトで「施設を知ってもらう方法」を考えています。一方、実習担当者の目の前には、すでに施設へ来ている学生がいます。二つが完全に分断されていました。

2.原因分析――なぜ実習が採用につながらないのか

原因①実習担当と採用担当がつながっていませんでした。実習予定が採用担当へ共有されません。原因②初日の印象を軽視していました。実習初日に、誰も挨拶しない、何をすればいいか分からない、職員が忙しそう。これだけで学生の施設イメージが決まることがあります。

原因③職員が施設の魅力を説明できませんでした。学生から、「この施設の良いところは何ですか?」と聞かれても、「みんな仲が良いですよ」だけ。具体性がありません。原因④実習後の接点がゼロでした。施設を離れた瞬間、関係が切れます。

3.具体的な改善策①――実習初日を「採用面接」にしない

ここは重要です。実習生だからといって、「うちへ就職しませんか」と初日から勧誘するのは適切ではありません。まず良い実習を提供します。利用者を知る、障害福祉を知る、支援の面白さを知る、職員の働き方を見る。良い実習体験そのものが最も強い採用広報と考えました。

4.具体的な改善策②――実習担当職員を「施設の顔」として育てる

実習担当者へ、法人理念、施設の特徴、支援の強み、新人教育、キャリア、職員がこの仕事を選んだ理由を説明できるようにします。パンフレットを読むのではありません。「私はなぜここで働いているか」を自分の言葉で話せる職員を担当にします。

5.具体的な改善策③――学生に「支援の成功体験」を一つ持って帰ってもらう

見学だけで終わらせません。本人の状態や実習内容、安全面等に配慮しながら、利用者と活動する、一緒に作品を作る、コミュニケーションを取る、職員と支援を振り返るなど、「障害福祉の仕事って面白い」と思える経験をつくります。採用テクニックではありません。福祉の仕事の価値を体験してもらうことです。

6.具体的な改善策④――最終日に「働く職員の話」を10分入れる

実習評価とは分けて、若手職員から、なぜ入職したか、最初に困ったこと、どのように仕事を覚えたか、現在の仕事を話してもらいます。給与や募集要項だけでは伝わらない、入職後の自分の姿を学生が想像できます。

7.具体的な改善策⑤――希望者だけに採用情報を渡す

実習終了後、「今後、当法人の見学会や採用情報を希望する方にはご案内できます」と伝えます。希望しない学生へ継続的に連絡する必要はありません。希望者との接点だけを残します。例えば、施設見学会、職員交流会、採用説明会、募集開始などです。

8.具体的な改善策⑥――学校との関係を「実習受入れ」で終わらせない

学校側へも、実習後の学生の様子、実習で学んだ内容、施設側の教育改善などを適切にフィードバックします。「毎年学生を受け入れてくれる施設」から、「学生を丁寧に育ててくれる施設」へ評価が変われば、長期的な採用基盤になります。

9.具体的な改善策⑦――実習生の反応を施設改善へ使う

実習終了時に、分かりやすかったこと、戸惑ったこと、職員の印象、仕事として魅力を感じたこと、分かりにくかったことを聞きます。これは採用だけでなく、施設文化を外部の目で確認する機会になります。「職員同士が挨拶しない」「新人には質問しにくそう」という感想があれば、採用広報以前の問題です。

10.改善結果――求人広告とは違う応募経路ができた

モデル事例では年間30人程度の実習・見学者のうち、希望者8人が採用情報の受け取りを希望。その後3人が採用見学へ参加。2人が応募。1人が入職したと仮定します。たった1人と思うかもしれません。しかしその人は、応募前にすでに、利用者、職員、仕事内容、施設環境を知っています。採用後の、「想像していた仕事と違った」というミスマッチも減らしやすくなります。

11.売上への効果――採用は売上の「前提条件」である

職員不足によって、新規利用を断っている、営業日を増やせない、グループホームの空室を埋められないという施設があります。この場合、利用者営業だけしても売上は増えません。人がいないからです。モデル事例で、採用した職員によって新規利用者2名を週2日ずつ受け入れられる体制が整ったと仮定します。

1利用日当たり12,000円なら、2名×週2日×4週×12,000円で月額192,000円、年間単純換算約230万円。採用そのものが売上なのではありません。職員を確保したことでサービス提供能力が増えた結果、売上上限が上がったということです。

※文中の人数・金額は説明のための参考値です。実際の結果は地域・サービス種別・職員体制などによって異なり、同様の成果を保証するものではありません。実習の受け入れは学校・養成機関との取り決めと実習の目的を優先し、採用の案内は本人が希望した場合に限って行ってください。

12.コンサルタントの視点――何よりの求人広告は「実際の職場」

求人広告には、アットホーム、やりがい、成長できる、働きやすいという言葉が並びます。しかし学生は数日間施設にいれば、本当の職場を見ます。職員同士がどう話すか、利用者へどう接するか、新人へどう教えるか、管理者がどう振る舞うか。

つまり実習採用では、採用ページより職場そのものが広告になります。これは誤魔化せません。だから実習から応募が来ない場合、求人原稿だけでなく職場文化も見直す必要があります。

13.今回のテーマに特化した実践アドバイス

昨年度一年間について、実習生、見学者、ボランティア、職場体験者が何人施設へ来たか数えてください。次に、そのうち何人と現在も接点があるかを確認します。30人来て接点ゼロなら、そこに採用導線を作る余地があります。ただし最初にやることは採用案内ではありません。「またこの施設へ来たい」と思える実習を作ることです。

実習・採用導線チェックリスト

  • 年間の実習生数を把握している。
  • 見学者数を把握している。
  • 実習担当と採用担当が連携している。
  • 初日の受入体制が決まっている。
  • 職員が実習生へ挨拶している。
  • 実習目的を職員が理解している。
  • 実習生を単なる人手として扱っていない。
  • 支援の意味を説明している。
  • 若手職員と話す機会がある。
  • 施設の強みを具体的に説明できる。
  • 実習評価と採用勧誘を混同していない。
  • 希望者だけに採用情報を案内している。
  • 学校との関係を継続している。
  • 実習生から施設への感想を聞いている。
  • 実習から採用への人数を把握している。
  • 入職後の定着まで追っている。

14.まとめ――「求人を出して待つ」以外の採用経路を持つ

採用できない、求人広告を出す、応募が来ない、広告費を増やす、それでも来ない。この繰り返しになっている施設があります。しかし施設には毎年、実習生、見学者、ボランティア、学生、地域の人が来ています。その人たちはすでに建物へ入り、職員と会い、利用者と接しています。

これは求人サイトでは作れない接点です。もちろん、実習を採用活動だけの場にしてはいけません。教育の場であることが最優先です。だからこそ、良い実習を提供する、良い職場を見てもらう、そのうえで希望する人とだけ関係を続ける。この順番が重要です。

障害福祉の採用難が続く中で、広告費だけを増やす経営には限界があります。採用サイトの文章を変える前に、「明日、学生が一週間この施設で働いたら、ここへ就職したいと思うだろうか」と考えてみる。その問いは採用改善であると同時に、施設そのものを良くする問いでもあります。

求人サイト以外の採用経路の広げ方は 採用チャネルを広げた事例、職場の伝え方は 求人票を書き直した事例、応募から入職までの離脱を減らす方法は 採用選考の歩留まりのコラム、入職後の定着は 入職90日後の定着を改善した事例 もあわせてご覧ください。

採用・定着の仕組みづくりのご相談は 定着・採用支援をご覧のうえ、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

Contact

障がい者施設の経営、
Engoodが再生まで伴走します。

「稼働率が上がらない」「赤字が続いている」「加算を取りこぼしている」——そんな施設さまへ。
初回のご相談・経営診断は無料です。現状の見える化から、わかりやすくご案内します。