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応募はあるのに採用できない|応募から入職までの「歩留まり」を分解して離脱を止める

障害福祉施設の採用で応募から入職までの歩留まりを分解する|Engood合同会社

障害福祉の採用のご相談では「求人を出しても人が採れない」という声をよくうかがいます。ただ、詳しく確認すると応募そのものは一定数あるという事業所も少なくありません。

問題は、応募から面接、面接から内定、内定から入職という途中の段階で候補者が離れていることにあります。この記事では、求人媒体を増やす前に確認したい「応募後の歩留まり」の見方と、離脱を止めるための具体的な打ち手を整理します。

※ 本記事は、複数の障害福祉の現場で起こり得る課題をもとに再構成したモデル事例です。特定の事業所の事例ではなく、記載の数値は説明のための想定値です。取り組みの効果は事業所の規模・地域・募集する職種によって異なり、同様の成果を保証するものではありません。

応募12件で入職1名——どこで失っているのか

想定するのは、生活介護と共同生活援助を運営する法人です。3か月で12件の応募がありましたが、実際に入職したのは1名だけでした。

応募者の動きを追うと、面接前の辞退・面接後の辞退・内定後の辞退がそれぞれ発生していました。つまり「応募が来ない」問題ではなく、来た応募を途中で失っている状態です。求人媒体をもう一つ増やしても、同じ選考プロセスのままなら結果は変わりません。

採用できない原因を4段階に分解する

採用活動を、①応募 ②面接設定 ③面接 ④内定・入職 の4段階に分けて、それぞれの通過率を見ます。すると、どこで人が抜けているかが具体的な段階として特定できます。

このモデル事例では、応募後の初動が遅く、面接前の離脱が多いことが分かりました。面接後の辞退理由には「職場の雰囲気が分からなかった」「仕事内容が想像しにくかった」といった声もありました。採用広報だけでなく、応募後の体験そのものに改善の余地があったということです。

改善前の状態——応募から面接まで平均6日

求人サイトから応募が入ると、事務担当者が管理者へ連絡し、管理者が予定を確認してから面接の候補日を決めていました。最初の返信まで1〜2日、面接は応募から平均6日後でした。

ここで見落とされがちなのが、求職者は複数の事業所へ同時に応募している可能性があるという点です。他の事業所から翌日に面接の案内が届き、先に内定が出れば、こちらの面接は辞退されます。選考の速さは、応募者に対する姿勢そのものとして受け取られます。

打ち手① 応募当日中に最初の連絡をする

応募通知を確認する担当者を明確にしたうえで、営業時間内の応募には原則その日のうちに、夜間の応募には翌営業日の午前中までに連絡するルールを決めます。

ポイントは、面接日が決まっていなくても連絡はできるということです。「ご応募ありがとうございます。面接の候補日を本日中にご案内します」——この一報があるかどうかで印象は変わります。最初の返信そのものが、事業所の第一印象になります。

打ち手② 面接の候補枠を先に確保しておく

管理者の予定を毎回確認してから候補日を作る、という進め方をやめます。毎週あらかじめ面接可能な枠を3〜4枠押さえておくと、応募があった時点ですぐ候補日を提示できます。

このモデル事例では、応募から面接までの日数を平均6日から2〜3日程度へ短縮することを目標にしました。やっていることは日程調整の順番を変えただけで、費用はかかっていません。

打ち手③ 面接時に短時間の職場見学を組み込む

面接後の辞退理由に「職場の雰囲気が分からなかった」が挙がる場合、言葉での説明だけでは限界があります。利用者のプライバシーや支援への影響に配慮しながら、可能な範囲で15分程度の職場見学を面接に組み込みます。

見てもらうのは、職員同士の声のかけ方、活動スペース、休憩場所、記録をする環境など。実際に働いている職員の姿が見えることで、応募者は「ここで働く自分」を想像しやすくなります

なお面接そのものを「評価する場」から「相互に確認する場」へ変える——仕事の大変な点も正直に伝え、ミスマッチを減らす——という設計は、それだけで一本の内容になります。具体的な質問の作り方までは 採用面接を変えたら「すぐ辞める人」が来なくなった施設の工夫|面接を相互確認の場に変えた実例 にまとめていますので、あわせてご覧ください。

打ち手④ 内定後48時間以内にフォローする

内定を出した瞬間に採用活動が終わるわけではありません。内定の通知後48時間以内に、勤務開始日、初日の流れ、必要書類、制服、研修の予定などをまとめて案内します。

入職まで期間が空く場合も、過度にならない範囲で一度連絡を入れ、不明点がないか確認します。この期間に連絡が途切れると、他社の選考が進んでいる候補者は気持ちが離れていきます。

▶ 入職した後の受け入れを、初日から90日のフェーズに区切って設計した実例は 入職後3か月以内に辞める職員が多かった施設|入職からの90日を30・60・90で区切って設計し直した実例 をご覧ください。選考と受け入れは、続きの一本の流れとして設計するほうが効果が出ます。

採用は「応募数」より「歩留まり」を見る

採用が難しくなると、求人媒体を増やしたり広告費を上げたりしがちです。しかし応募10件から1名しか入職しない事業所が応募を20件に増やしても、同じ選考プロセスなら多くの候補者を失うだけです。かかるのは広告費だけが増えます。

確認すべきなのは、次の各段階の通過率です。

  • 応募 → 面接設定率
  • 面接設定 → 面接実施率
  • 面接 → 内定率
  • 内定 → 内定承諾率
  • 内定承諾 → 入職率

どこで離脱が多いかが分かれば、改善する場所が特定できます。面接前の離脱が多いなら初動の速さ、面接後の離脱が多いなら面接での情報提供、内定後の離脱が多いならフォローの設計——というように、打ち手が段階ごとに変わります。

採用活動は「人を選ぶ作業」であると同時に、「応募者から事業所を選んでもらう活動」でもあります。この視点が抜けると、選考が一方通行になります。

実践のポイント

  • ① 返信テンプレートを用意する……応募受付・面接案内・内定後案内の3種類。速さは仕組みで担保します
  • ② 辞退理由を分類して残す……不採用理由だけでなく、給与・勤務時間・通勤・仕事内容・選考の速さなどに分けて記録します
  • ③ 面接官を増やしすぎない……原則1〜2名程度で、役割を決めておきます
  • ④ 求人票と面接の説明内容を定期的に照合する……ずれていると入職後のギャップになります
  • ⑤ 月1回、応募→面接→内定→入職の人数を一本の表で見る……段階ごとに並べて初めて、どこが弱いかが見えます

管理者のための採用プロセス改善チェックリスト

  • □ 応募への初回連絡までの時間を把握している
  • □ 面接の可能枠をあらかじめ確保している
  • □ 応募から面接までの日数を測っている
  • □ 面接前辞退の人数と理由を記録している
  • □ 面接で仕事の大変な点も説明している
  • □ 応募者が質問する時間を取っている
  • □ 可能な範囲で職場見学を実施している
  • □ 内定後48時間以内に次の案内をしている
  • □ 内定辞退の理由を記録している
  • □ 応募→面接→内定→入職の各段階を毎月確認している

まとめ——求人費を増やす前に、応募者を失っている場所を探す

障害福祉の採用難は、簡単に解決できる問題ではありません。ただ「人が来ない」という言葉だけで終わらせてしまうと、自分たちで改善できる部分まで見えなくなります

応募があったなら、その方は一度は事業所に関心を持ってくれています。ではなぜ面接に来なかったのか。なぜ内定を辞退したのか。どこで気持ちが離れたのか。採用のプロセスを段階に分けると、事業所側で手を打てる箇所が見えてきます。

返信を早くする。面接枠を確保する。仕事の現実を伝える。職場を見てもらう。内定後も丁寧につなぐ。どれも大きな費用は必要ありません。

採用力とは、求人広告の強さだけではありません。応募してくれた方との一つひとつの接点を丁寧に設計する力です。「応募者を集める」ことと同じくらい、「応募者を途中で失わない」ことが重要になります。

あわせてお読みください。面接での質問設計と相互確認の進め方は 採用面接を変えたら「すぐ辞める人」が来なくなった施設の工夫、求人票の書き方は 求人票を書き直したら応募が約3倍になった施設、募集チャネルの広げ方は ハローワークだけに頼っていた施設が採用チャネルを広げた実例、採用の入口づくり全体は 採用応募が3倍になった施設の工夫 で解説しています。採用から定着までの体制づくりのご相談は 職員の離職・定着支援サービス内容 もあわせて お問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

よくあるご質問

応募はあるのに採用できません。求人媒体を増やすべきでしょうか?
その前に、応募後のどの段階で候補者を失っているかを確認することをおすすめします。応募10件から1名しか入職しない事業所が応募を20件に増やしても、同じ選考プロセスなら多くの候補者を失うだけで、広告費だけが増えます。応募→面接設定率、面接実施率、内定率、内定承諾率、入職率を段階ごとに見ると、改善すべき場所が特定できます。
応募から面接までは、どのくらいの日数が目安ですか?
求職者は複数の事業所へ同時に応募している可能性があります。他の事業所から翌日に面接の案内が届き、先に内定が出れば、こちらの面接は辞退されます。モデル事例では平均6日から2〜3日程度への短縮を目標にしました。管理者の予定を毎回確認してから候補日を作るのではなく、毎週あらかじめ面接枠を3〜4枠押さえておく方法が有効です。
面接日が決まっていないと、応募者に連絡できないのでは?
面接日が決まっていなくても連絡はできます。「ご応募ありがとうございます。面接の候補日を本日中にご案内します」という一報を、営業時間内の応募には原則その日のうちに、夜間の応募には翌営業日の午前中までに送るルールにしておきます。最初の返信そのものが事業所の第一印象になります。
面接後に辞退されてしまいます。何が原因でしょうか?
辞退理由に「職場の雰囲気が分からなかった」「仕事内容が想像しにくかった」が挙がる場合、言葉での説明だけでは限界があります。利用者のプライバシーや支援への影響に配慮しながら、可能な範囲で15分程度の職場見学を面接に組み込むと、応募者が「ここで働く自分」を想像しやすくなります。あわせて、仕事の大変な点も正直に伝えることでミスマッチを減らせます。
内定を出した後は、何をすればいいですか?
内定の通知後48時間以内に、勤務開始日、初日の流れ、必要書類、制服、研修の予定などをまとめて案内します。入職まで期間が空く場合も、過度にならない範囲で一度連絡を入れ、不明点がないか確認します。この期間に連絡が途切れると、他社の選考が進んでいる候補者の気持ちは離れていきます。内定を出した時点で採用活動が終わるわけではありません。
採用改善のために、まず何から記録すればいいですか?
応募受付・面接案内・内定後案内の返信テンプレートを用意して速さを仕組みで担保したうえで、辞退理由を給与・勤務時間・通勤・仕事内容・選考の速さなどに分類して残してください。そして月1回、応募→面接→内定→入職の人数を一本の表で確認します。段階ごとに並べて初めて、どこが弱いかが見えてきます。
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