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登録はあるのに稼働率が上がらない|欠席を「体調不良」で終わらせず、実利用率から見直す

障害福祉施設の欠席理由を分析して実利用率を改善する|Engood合同会社

稼働率を改善しようとすると、多くの事業所がまず考えるのは新規利用者の獲得です。相談支援事業所を訪問する、パンフレットを配る、見学者を増やす、ホームページを改善する——どれも必要な取り組みです。

ただ、新規を探す前に確認しておきたい数字があります。いま登録している方は、予定どおり利用できているでしょうか。

※ 本記事は、障害福祉の現場で起こり得る複数の課題をもとに再構成したモデル事例です。特定の施設・法人の実績を示すものではなく、記載の数値・内容は改善の考え方を分かりやすくするための想定値です。取り組みの効果は事業所の状況によって異なり、同様の成果を保証するものではありません。

定員20名、登録25名。それでも一日15名しか来ない

想定するのは定員20名の日中活動系の事業所です。登録は25名程度あり、数字だけを見れば十分な利用者がいるように思えます。

ところが実際の一日平均の利用者数は15〜16名程度で、稼働率が80%を下回る月もありました。経営会議では「あと3人くらい新規が必要だ」という話になっていましたが、利用実績を調べると別の問題が見つかりました。契約者が足りないのではなく、契約している方の欠席が想定以上に多かったのです。

欠席理由がすべて「体調不良」で処理されていた

この事業所でも欠席の記録は残っていました。しかし理由は「体調不良」「本人都合」「家庭事情」という大きな分類だけです。

同じ「体調不良」でも、実際の中身はさまざまでした。発熱して休んだ、便秘が続いて休んだ、前夜眠れず朝起きられなかった、精神的に不安定で外出できなかった、朝食を食べられず家族が休ませた、送迎車に乗ることを拒否した——それが一言にまとめられ、毎月「今月は体調不良による欠席が多かったですね」で終わっていました。

これでは対策の立てようがありません。

欠席を「仕方のないこと」と考えすぎていないか

体調を崩したときに無理な利用を勧めるべきではありませんし、本人が休むことを選ぶこともあります。そのため職員には「欠席は施設側ではどうしようもない」という認識がありました。

防げない欠席があるのは事実です。しかし3か月分の実績を利用者別・曜日別に並べ替えると、パターンが見えてきました。

  • 月曜日の欠席が多い方
  • 月末になると欠席が増える方
  • 特定の活動日に欠席が多い方
  • 冬季になると欠席が増える方

さらに、欠席が月1回程度の方もいれば、月5〜6回休む方もいました。「欠席者数」ではなく「誰が・いつ・どのような理由で休んでいるか」まで見る必要があったということです。

整え方① 「実利用率」を利用者ごとに出す

まず、利用者ごとに利用予定日数と実利用日数を比べます。月20日の予定で18日利用している方と、20日の予定で12日しか利用していない方とでは、状況がまったく違います。

そこで「実利用日数 ÷ 利用予定日数」を一つの目安として確認します。

ここで大事なのは、目的が利用者を評価することではないという点です。利用できていない方を早期に見つけることが目的です。欠席が一定回数を超えた方については「今月は休みが多いですね」で終わらせず、「予定どおり利用できない背景に何があるか」を個別に検討します。

整え方② 欠席理由を「改善できる可能性」で分類する

「体調不良」で止めず、必要な範囲で背景を確認して分類します。感染症や発熱など休養が必要なもの、慢性的な体調管理上の問題、睡眠リズム、精神的な不安、送迎上の問題、活動への不安や拒否、家庭の送迎事情、家族の都合、他サービスとの予定調整、本人の選択——といった形です。

ここで最も重要なのは、すべての欠席を減らそうとしないことです。

休むべき体調であれば休むことが適切ですし、本人が利用しないことを選択する場合もあります。一方で「送迎の時間が本人に合わない」「活動内容への不安が強い」など、施設側の工夫で改善できる可能性がある理由もあります。

減らすべき欠席と、尊重すべき欠席を区別する。ここを分けないまま「欠席を減らそう」と進めると、方向を誤ります。

整え方③ 月曜に休む方の「日曜日」を見る

特徴的だったのが、月曜日に欠席が集中していた方です。施設側だけを見ていても理由が分かりませんでしたが、ご家族に確認すると「日曜日は夜更かしすることが多く、月曜日の朝に起きられない」ことが分かりました。

そこでご家族と相談し、日曜日の生活リズム、月曜日朝の準備、送迎の時間、月曜午前の活動内容を調整しました。

ポイントは、欠席した日の原因だけでなく、その前日から生活を見ることです。障害福祉サービスの利用は事業所の営業時間だけで成立しているわけではなく、家庭生活との連続性の中にあります。

▶ ご家族から自宅での様子を教えていただく仕組みは 家族対応を「個人技」から「仕組み」へ、体調の小さな変化を拾う方法は 「いつもと違う」を医療につなぐ で解説しています。

整え方④ 「行きたくない」を問題行動として扱わない

別の方では、特定の曜日に「今日は行かない」と送迎車への乗車を拒むことがありました。当初は「気分に波がある」と受け止められていましたが、曜日別に確認すると、その曜日には本人が苦手としている集団活動が設定されていました

本人にとって「施設へ行く=その活動に参加しなければならない」という認識になっていた可能性があります。そこで、参加しない選択肢、別の活動、休憩できる場所、参加する時間の調整を検討したところ、利用につながる日が増えました。

本人の「行きたくない」を、利用意欲の問題ではなくサービス改善の情報として見る。この転換が効きます。

▶ 行動の背景を読み解く支援の考え方は 利用者の「問題行動」が減った施設がやっていたこと|行動を「サイン」として読む支援 をご覧ください。

整え方⑤ 欠席が続いたら、利用終了を待たずに計画を見直す

以前は、欠席が続いても次のモニタリングまで特別な見直しをしないことがありました。そこで「一定期間で欠席が複数回続いた場合」など、事業所内で確認する目安を設けます。

対象になった場合は、本人、ご家族、担当職員、サービス管理責任者、必要に応じて相談支援専門員や医療職を交えて背景を確認します。

ここでも大事なのは、「もっと来てください」と利用を促すことではないという点です。確認するのは現在の利用計画が本人の生活や状態に合っているか。利用する曜日を変えたほうがよい場合、利用時間を調整したほうがよい場合、他のサービスとの組み合わせを見直す必要がある場合もあります。

「空きを埋める」ことと「利用できる状態をつくる」ことは違う

定員20名の事業所にとって、新規を1名獲得することと、既存の方の欠席を毎日平均1名分減らすことは、経営の上ではどちらも同じだけの意味を持ちます。しかも後者には、支援の上での意味があります。

なぜ利用できていないのかを調べることで、体調管理、生活リズム、送迎、活動内容、人間関係、本人の意思、家族の負担、医療——それまで見えていなかった支援課題が見つかることがあるからです。

ただし、ここだけは間違えてはいけません。稼働率のために、休むべき利用者へ利用を強く勧めることがあってはなりません。本人の健康や意思より経営の数字を優先すれば、福祉サービスとして本末転倒です。

だからこそ「欠席を減らす」のではなく、「本人が利用したい日に、利用できない障壁を減らす」という考え方が要になります。

実践のポイント

  • ① 登録者数ではなく「実利用率」を見る……契約者が多いだけでは稼働率は上がりません。利用予定と実績の差を利用者ごとに確認します
  • ② 欠席が多い曜日を調べる……「月曜だけ少ない」「金曜午後にキャンセルが多い」といった特徴がないか。曜日ごとの活動や送迎もあわせて見ます
  • ③ 「体調不良」をもう一段階だけ具体化する……医学的な診断をする必要はありません。発熱なのか、睡眠なのか、便秘なのか、精神的な不安なのか。背景によって支援の方法が変わります
  • ④ 欠席の理由を本人にも聞く……ご家族からの連絡だけで判断しないことも大切です。後日、本人が答えられる方法で「この日はどうして休みたかったですか」と確認すると、施設側が知らなかった理由が出てくることがあります
  • ⑤ 稼働率と個別支援計画をつなげる……欠席が続く方については「本人が安定して利用するために何が必要か」という視点で計画も確認します。稼働率の改善と支援の改善を別々に考えないことがポイントです

稼働率・欠席分析チェックリスト

  • □ 登録利用者数と実利用者数を分けて把握している
  • □ 利用予定日数と実利用日数を比較している
  • □ 利用者ごとの欠席状況を確認している
  • □ 曜日別の欠席状況を把握している
  • □ 「体調不良」の背景を必要な範囲で確認している
  • □ 送迎が欠席の理由になっていないか確認している
  • □ 活動内容と欠席の関係を確認している
  • □ 本人の意思を確認している
  • □ 欠席が続く場合に個別支援計画を見直している
  • 稼働率の向上を理由に、無理な利用を勧めていない

まとめ——新しい利用者を探す前に、いまの方が利用できているかを見る

定員20名の事業所に25名が登録しているのに一日15名しか利用していないのであれば、新規の営業だけでは本質は解決しません。

なぜ利用予定日に来られないのか。誰の欠席が多いのか。何曜日に多いのか。その前日に何が起きているのか。送迎は合っているか。活動は本人に合っているか。体調管理上の課題はないか。本人は本当にその利用の仕方を希望しているか。

一つずつ確認していくと、稼働率という経営数字の裏側に、利用者一人ひとりの生活が見えてきます。

そしてここが、障害福祉の稼働率改善と一般的な店舗の稼働率改善との違いです。席が空いているから埋めるのではありません。本人が必要とする支援を、必要な日に利用できる状態をつくる。その結果として実利用日数が増え、経営も安定する。経営と支援の両方を同時に改善できるのが、障害福祉における本来の稼働率改善です。

あわせてお読みください。空きが埋まらない原因を出席率・退所・新規の入り口・見学後の入所率・認知度の5つに分解した実例は 「場所が悪い」で止まっていた生活介護が定員に近づくまでの2年、曜日ごとの利用者数と職員配置のずれを見つける方法は 「赤字曜日」を見つける、問い合わせから利用開始までの離脱を止める方法は 空きがあるのに利用につながらない、放課後等デイサービス・児童発達支援で急な欠席が続く場合の加算の取扱いは 放課後等デイの急な欠席が続くとき で解説しています。稼働率・利用者確保のご相談は 稼働率改善支援サービス内容 もあわせて お問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

よくあるご質問

登録者は足りているのに稼働率が上がりません。新規を増やすべきですか?
その前に、いま登録している方が予定どおり利用できているかを確認してください。利用者ごとに「実利用日数 ÷ 利用予定日数」を出すと、月20日の予定で18日利用している方と12日しか利用していない方の違いが見えます。契約者が足りないのではなく、契約している方の欠席が多いというケースは少なくありません。
欠席理由が「体調不良」ばかりで、対策が立てられません。
もう一段階だけ具体化してみてください。医学的な診断をする必要はありません。発熱なのか、睡眠リズムなのか、便秘なのか、精神的な不安なのか、送迎に乗れなかったのか——背景によって支援の方法が変わります。あわせて利用者別・曜日別に並べ替えると、特定の方が特定の曜日に休んでいるといった偏りが見えてきます。
欠席はできるだけ減らすべきでしょうか?
すべての欠席を減らそうとしないでください。休むべき体調であれば休むことが適切ですし、本人が利用しないことを選ぶ場合もあります。一方で「送迎の時間が本人に合わない」「活動内容への不安が強い」など、施設側の工夫で改善できる理由もあります。減らすべき欠席と尊重すべき欠席を区別することが出発点です。稼働率のために、休むべき方へ利用を強く勧めることがあってはなりません。
特定の曜日だけ休みが多い利用者がいます。
その日の施設側の状況だけでなく、前日からの生活を見てみてください。「日曜日に夜更かしをして月曜の朝に起きられない」といったことがあります。ご家族と相談して前日の生活リズム、当日朝の準備、送迎の時間、午前中の活動内容を調整できることがあります。また、その曜日に本人が苦手な活動が設定されていないかも確認してください。
「行きたくない」と言われたとき、どう受け止めればいいですか?
利用意欲の問題として扱うのではなく、サービス改善の情報として見ることをおすすめします。曜日別に確認すると、本人が苦手としている活動がその日に設定されていた、という背景が見つかることがあります。参加しない選択肢、別の活動、休憩できる場所、参加する時間の調整などを検討すると、利用につながる日が増えることがあります。
欠席が続く利用者には、どう対応すればいいですか?
利用終了を待たず、一定期間で欠席が複数回続いた場合に確認する目安を事業所内で設けておく方法があります。本人、ご家族、担当職員、サービス管理責任者、必要に応じて相談支援専門員や医療職を交えて背景を確認します。ここで確認するのは「もっと来てください」ということではなく、現在の利用計画が本人の生活や状態に合っているかです。利用する曜日や時間、他のサービスとの組み合わせを見直したほうがよい場合もあります。
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